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在日外国人の宿泊が少ない魅力の無い県は?2020年12月月次インバウンドレポート

2020年12月月次インバウンドレポート


2021年1月

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大




■12月の出来事要約


 2020年12月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、新型肺炎COVID-19の感染者が全世界で8000万人を突破。日本では1日の感染者数が4千人を突破。東京都は1日で1300人を記録。また英国や南アフリカからのコロナ変異種が日本国内でも確認。それに伴い政府は全世界からの新規入国の一時停止を決定。Go Toトラベルは全国一斉停止。各都道府県は酒類を提供する飲食店への時短要請を延期などがあった。

 日本政府観光局が発表した11月訪日外国人客数は単月で56,700人となり、倍増ペースが続く。



■12月主なインバウンド関係ニュース

・2020年11月訪日外国人客数は56,700人。中国からの入国者は先月からの4倍増で全体を牽引。詳しくはこちらのレポートを参照。


・日本国政府は世界からの新規入国を停止。また日本人でシンガポール・韓国・ベトナム・中国以外の国からの地域からの帰国の14日間待機免除を一時停止。詳細は外務省の国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について参照。


・東京オリンピック・パラリンピックの大会経費は、新たに2940億円が必要となり、総額1兆6440億円に増えたことを発表。詳細はこちら


・日本からの観光目的でのタイへの入国が可能になったことを発表。日本からの観光目的でのビザなし渡航が可能になった。詳細はこちら


・ニュージーランドとオーストラリアは相互間でのトラベルバブルに同意。早くても2021年2月から運用開始か。詳細はこちら


・シンガポールは新たに台湾からの旅行者をトラベルバブルとして受け入れ。これで6か国目となる。詳細はこちら


・日本百貨店協会が発表した11月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比▲89.3%の約27億円となった。


・観光庁が発表した10月の宿泊旅行統計によると、旅館、ホテル等の宿泊数は前年同月比▲30.2%の3296万人。うち外国人は▲95.1%の44万人となった。



■2020年11月訪日外国人客数

 以下のグラフが2017年-2020年までの訪日外国人客数である。



 日本政府観光局が発表した2020年11月の訪日外国人客数は11月単月で56,700人となった。同年前月比は+106%と倍増。前年同月比は▲97.7%となった。


 国別で見ていくと、アジアでは中国18,100人と先月の4,500人から約4倍増。ベトナムは14,700人と先月の6,700人から約2倍増。韓国は2,800人と先月の2,000人からやや増加。台湾は1,200人と先月から100人減。タイも先月から400人減の入国者数は1,000人となった。


 英国300人、フランス500人、ドイツ300人と、先月からほぼ変わらずの水準。米国1,100人と4桁回復。中国とベトナムからの入国者数で訪日客数をけん引した形となった。その他の国からは大きな変化はなかった。



■免税店総売上高の推移 


以下は百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。


 11月も引き続きビジネス関連の入国規制が緩和され、訪日外国人数が倍増。免税売上高は約 27 億円と先月の21億円に比べて増加。購入品の不動の1位は変わらず化粧品であり2位はハイエンドブランド。ただ、購入品上位5位に家庭用品が入った。パスポート別購入者のトップは中国本土。以下台湾、香港、韓国と続く。



 以下は購買客数と購買単価の図である。


 11月の購買客数は約7千人と先月から2千人ほど増加。一人あたりの購買単価は約38万円と、先月の約42万円から減少。これは売上上位商品群に家庭用品が5位にランクインしたからと推測される。訪日観光客数は増加しており、先月から購買客数には大きな変化はないものの、一人あたりの購買単価は高く推移。引き続き免税店での化粧品やハイエンドブランドの購買意欲の高さが伺える。




■外国人延べ宿泊者数

 以下の図は観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移である。



 11月発表の速報値では外国人延べ宿泊者数は約44万人と先月の26万人から6割増。これは訪日観光客数が倍増になったことや、秋の行楽シーズンとGo Toトラベルで旅行需要喚起の影響だと考える。


 以下の図は2020年緊急事態宣言後からの都道府県別外国人延べ宿泊数のランキングである。


 グラフの集計を2020年6月からとしており、コロナ前のデータを除くことによって、緊急事態宣言解除後から各都道府県における外国人宿泊者数を把握できる。引き続きトップは東京都。次に千葉県、大阪府、沖縄県と続く。逆に下位は徳島県、佐賀県、秋田県と先月からこの3県が下位を争っている


 これは観光目的の入国制限をしている中、在日外国人がどこの都道府県に宿泊しているのかがわかる貴重なデータである。在日外国人は日本の事を日本人以上に知っている人が多く、日本人が見落としている観光資源を発見するための有効なデータだと考える。在日外国人の目線はインバウンドマーケティングにとって非常に重要なデータだ。



■考察

 

 インバウンドはいつ戻るのか?を考えてみたい。まずインバウンドは2021年7月に戻ると想定している。日本政府はオリンピックを海外からの観客入りで開催するという方向で動いており、それに基づけば2021年7月に海外からの一般観光客を受け入れると考えている。


 次に、インバウンドはどう戻るのかを考えなければならない。そして、どこの国から観光客を受け入れるのか?また他国が自国民を観光目的で日本に送り出すかどうか?を考える必要もある。


 想定では、トラベルバブルを使って、訪日客数の上位国である中国、韓国、台湾はじめ、東南アジアからの一般観光客受入のために早い段階で入国規制を解除するのではと考えている。またバカンスに入るユーロ圏、英国、北米からの入国規制解除も想定している。ただ、中にはオーストラリアなど、自国民の観光目的の出国を認めない国もあるので注視が必要だ。


 加えて上記の国々からどのぐらいの観光客数が来るのか?を考える必要がある。それを予測するにはたくさんのファクターを考慮する必要があるが、今回は簡単に観光庁と国交省が公表している訪日客数及び国際定期航空便の主な動向のデータを使って予測をしてみたい。

 まず、以下の図を参照。


 左軸は2019年からの訪日客数、右軸は国際定期便数(旅客)。この図を見ると2019年は月平均約2万便の運航スケジュールがあり、訪日客数も月平均約260万人程度で推移していたが、2020年の入国制限以降、国際定期便数は月平均約1800便程度、訪日客数は月平均約1.4万人程度までに落ち込んだ。また、訪日客数を国際定期便数で割ると、以下の図のようになる。


 この図を見ると、2019年は一便当たり平均約118人の訪日客数が搭乗していたが、2020年の3月以降は一便平均約8人という数値に下落。この数値を見ると、いかに国際定期便に旅客が搭乗していない事がわかる。直近では足元の入国制限緩和もあり、一便当たりの訪日客数は約36人程度まで回復しており、今後も回復していくと見込まれる。


 この一便当たりの訪日客数と国際定期便フライト数を使って、訪日客数を簡単に予測する。単純に2019年の実績ベースに一便当たりの訪日客数に0.6掛け、国際定期便フライトに0.4掛けしてメインシナリオを作成。また、予想レンジの上限はそれぞれ、0.8、0.7掛けして、結果は以下のような図になる。



 このモデルのメインシナリオによれば、2021年7月のオリンピック月には、訪日客数は約71万人。アジアと欧米の国際定期便の比率はざっくり8:2なので、アジア諸国からの訪日客数は約56万人、欧米からの訪日客数は約14万人と予測が出来よう。だた、2019年7月の290万人の訪日客数と比較しても、25%程度という低水準である。




■今後のインバウンド市場の予想


前回のレポートからの一般訪日観光客の受け入れのシナリオを以下の通りに変更する。

メインシナリオ:2021年7月以降 

楽観シナリオ:2021年4月以降 

悲観シナリオ:2021年10月以降 



【ポジティブ材料】

・感染症対策と経済対策を同時に行っていく政府の方針。レジデンストラックやビジネストラック運用開始で人の往来が徐々に増えていく。また2030年訪日観光客数6000万人の目標に変更はない。


・IOC及び日本政府は来年の東京オリンピック開催に向けて、観客を入れた大会の開催を前提に動いている事。


・米英でワクチン接種が始まり、ファウチ所長は2021年の秋以降に米国の生活は正常通りになると述べていること。



【ネガティブ材料】

・日本国内でのコロナウイスル新規感染者が止まらない。旅行をするモメンタムの低下を招いている。

・Go Toトラベルが一時的に中断。これが春先まで延長される可能性がる。


・英国と南アフリカでの変種が世界中に蔓延し、国を跨ぐ移動に再び制限をかけ始めていること。


・日本国内の感染者増加で他国が日本への渡航禁止を延長する可能性が高くなる。また日本人の入国拒否が延長される可能性もありうる。


・次期米国大統領候補であるバイデン氏が当選した場合、コロナウイスル対策で厳しい対策を講じるリスクがあり、人の移動が制限される可能性がある。


 メインシナリオを2021年7月以降と先月から据え置いた。足元のコロナ感染者数の増加に歯止めがかかる気配はないが、ワクチンの普及や、気候が暖かくなれば、多少は落ち着いてくると思われ、コロナに対するマインドが多少緩むと考えているから。また、政府もオリンピック開催に前のめりであり、国際的な人の移動に制限を続けていたら、観光業をはじめ、航空業界が経営的にもたないだろう。観光業界は時間との戦いである。


 2021年のインバウンド業界はとても厳しい状況が続くだろう。上記の予測のようにオリンピック月でも2019年度7月比で25%程度の回復しか見込めない。仮にオリンピックが中止となったら、状況は一変すると考えられるので、すべてはオリンピックありきの前提だという事を忘れてはならない。




筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。


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