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オリンピックとワクチンパスポートでインバウンドは復活か!?2021年6月月次インバウンドレポート

最新インバウンド情報


■6月の出来事要約

 2021年6月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、沖縄を除く都道府県の緊急事態宣言が解除され、まん延防止等重点措置へ移行。期間は7月11日まで。日本でも海外渡航者向けのワクチンパスポート発給を決定。また、東京オリンピック・パラリンピックに観客を入れる事が決定された。

 欧州連合は日本からの観光客の受け入れを表明。またアメリカ国務省は日本への渡航情報をレベル4からレベル3へ引き下げた。

日本政府観光局が発表した2021年5月の訪日外国人客数は5月単月で10,000人となった。前年同月比は+501.3%。



■6月主なインバウンド関係ニュース


・2021年5月訪日外国人客数は10,000人。新規入国の原則禁止は継続も先月から大きな変化はなし。詳しくはこちらのレポートを参照。

・日本国政府は緊急事態宣言発令解除後も、ビジネストラック・レジデンストラックを1月14日からの一時停止措置を延長。詳細は外務省の国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について参照。


・欧州連合が日本人観光客受け入れ方針へ。詳細はこちら


・菅首相はワクチン接種について希望者全員が10月から11月にかけて終了できるよう取り組む考えを示した。詳細はこちら


・ワクチンパスポートの交付を7月中に各自治体で交付開始。まずは紙での交付になる予定。詳細はこちら


・オーストラリアとニュージーランドとの間でトラベルバブルが再開。詳細はこちら


・香港―シンガポール間のトラベルバブルは7月1日に再開予定。詳細はこちら


・タイは10月中旬までに外国人観光客の入国制限を大幅緩和予定。詳細はこちら

・日本百貨店協会が発表した2021年5月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比+223.8%の25.1億円となった。



・観光庁が発表した2021年5月の宿泊旅行統計によると、旅館、ホテル等の宿泊数は前年同月比+135.6%の2,103万人泊。外国人は▲97.5%の24万人泊となった。



■2021年5月訪日外国人客数


以下のグラフは2017年-2021年までの訪日外国人客数である。



 日本政府観光局が発表した2021年5月の訪日外国人客数は4月単月で10,000人となった。同年前月比は▲8.3%と減少。前年同月比は+501.3%となった。


 国別で見ていくと、アジアでは中国1,800人、韓国1,000人と先月から引き続き全体を牽引。次に変異株が猛威を振るうインドから500人、台湾300人と続く。ベトナムからの訪日者数は400人であった。

 欧米豪からは、英国200人、フランス200人、ドイツ200人、先月からあまり大きな変化はなかった。一方米国からは1,000人と大幅に増えた。


引き続き水際の対策強化と新規入国一時停止の影響が大きく数値に現れた。



■免税店総売上高の推移

百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。




 2021年1月から続くビジネス・レジデンストラックの一時停止処置により訪日外国人客数は低位に水位。加えて緊急事態宣言による百貨店への休業要請により、免税店売上高が25.1億円と、先月45億円から大幅に減少した。


 購入品の不動の1位は変わらず化粧品であり2位はハイエンドブランド。パスポート別購入者のトップは中国本土。以下台湾、韓国と続く。



以下は購買客数と購買単価の図である。


 5月の購買客数は約5千人と先月から半減。しかし、一人あたりの購買単価は47.3万円へと過去最高値となった。購買客数が減少したものの、購買単価は上昇。引き続き免税店での化粧品やハイエンドブランドの購買意欲の高さが伺える。



■外国人延べ宿泊者数


以下の図は観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移である。



直近発表の速報値では外国人延べ宿泊者数は約24万人と先月の22万人から+6%。増減の要因としてはゴールデンウイークの連休が影響したことだと考えられる。



以下の図は2021年4月からの都道府県別外国人延べ宿泊数のランキングである。


 グラフの集計を2021年4月から集計。このランキングは在日外国人がどこの県に宿泊しているかがわかる貴重なデータだ。在日外国人の宿泊が少ない県というのは、インバウンド客にも人気がない県というのが明白なので、どのように県の観光の魅力を高めるのかを考える発射台としてほしいと思っている。何故かというと、過去のレポートでも述べたように、1日あたりの宿泊費と飲食代の相関は高いからだ。つまり、宿泊数が多く、宿泊単価が高ければその地域の飲食店への経済効果は高いと言える。なので、各都道府県はいかに外国人観光客に宿泊してもらえるような仕掛けを考える必要がある。




■今後のインバウンド市場の予想


 引き続き、前回のレポートからの一般訪日観光客の受け入れのシナリオは以下の通りである(変更なし)


メインシナリオ:2022年1月以降

楽観シナリオ:2021年10月以降

悲観シナリオ:2022年4月以降



【ポジティブ材料】

・日本でのワクチン接種率の上昇

・日本政府の2030年訪日観光客数6000万人の目標

・オリンピック開催機運上昇

・ワクチンパスポート導入

・欧米で観光客の往来が再開

・アウトバウンドの復活


【ネガティブ材料】

・GoToトラベル事業の再開未定

・新規査証発給一時停止措置

・緊急事態宣言の再発令

・世界でのコロナデルタ株への対応



 先月から海外一般観光客の受け入れシナリオに変更はない。ただ、この1か月で状況は大きく変化している。そのひとつはワクチンパスポートの導入決定だ。詳細はまだ明らかになっていないが、国際的な人の往来は国同士の相互取り決めなので、日本国籍のワクチンパスポート保有者の入国を受け入れるのであれば、相手国のワクチンパスポート保有者の受け入れをするのが通常である。また、日本は海外留学生の査証発給を一時停止しており(国費除く)、各国から留学生や人道的な対応で日本の国境を開放するように要請を受けていると聞く。


 そのよう中、日本のワクチン接種率が2割を超えてきており、徐々に経済正常化に進んでいる事に間違いはない。ただ、一般海外観光客の受け入れには、留学生の受け入れ、ビジネストラック・レジデンストラックの運営再開、国内でGoToトラベル再開がなされてからになるだろう。


 世界を見渡せばデルタ変異株が猛威を振るうも、欧米各国は経済正常化にまい進。特にアメリカは独立記念日までに完全回復のアピールをすることが予定されている。加えてアメリカの旅行業界もV字回復になっており、大きなリベンジ消費を受け、雇用の需給がひっ迫している状況にある。一方、アジア各国はワクチン普及の遅れで再び都市封鎖などの厳しい措置を敷いているが、タイなどは海外観光客の受け入れ再開表明や、シンガポールや香港などのワクチン接種率が日本より大きく進んでいる国が欧米との人の往来を再開する可能性高い。


 そのような中、東京オリンピック開会式まで1か月を切り、オリンピックに対する世論は拮抗まで持ち直している。東京オリンピックには様々な意見があるだろうが、開催するのであれば、日本国の威信にかけて成功させなければならない。日本は世界を失望させてはならないと筆者は考える。またインバウンドの復活はオリンピックの成功にかかっていると言えるであろう。






筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事




会社紹介

Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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