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2021年のインバウンドは消滅。2021年3月月次インバウンドレポート

2021年3月月次インバウンドレポート


2021年4月

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大


■3月の出来事要約


 2021年3月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、新型肺炎COVID-19の感染者は変異株が猛威を振るうも、ワクチン普及で新規感染者数は鈍化傾向。日本では緊急事態宣言が解除されたものの、飲食業への時短営業要請及び新規入国者の入国原則禁止を続ける。


 東京オリンピック組織委員及びIOCなどは東京オリンピック・パラリンピックへの海外一般観光客の受け入れ断念を正式決定。

日本政府観光局が発表した2021年2月訪日外国人客数は単月で7,400人となった。前年比は▲99.3%。



■3月主なインバウンド関係ニュース


・2021年2月訪日外国人客数は7,400人。新規入国を原則禁止にしたことにより、回復傾向であった訪日外国人客数は大幅に減少した。詳しくはこちらのレポートを参照。

・日本国政府は緊急事態宣言発令解除後も、ビジネストラック・レジデンストラックを1月14日からの一時停止措置を延長。詳細は外務省の国際的な人の往来再開に向けた段階的措置について参照。


・東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、日本政府、東京都の5者協議で今夏開催される東京オリンピック・パラリンピックでの海外一般客受け入れを断念。詳細はこちら


・高齢者(約3,600万人)のワクチンの優先接種は4月12日から開始予定。詳細はこちら


・欧州連合は6月までにワクチンパスポートの導入を目指すことを発表。詳細はこちら


・タイ政府は7月からプーケットでコロナウイスルワクチンを接種した外国人は隔離なしで入国を認める方針を示した。詳細はこちら

・日本百貨店協会が発表した2021年2月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比▲60.7%の約43.3億円となった。


・観光庁が発表した2021年2月の宿泊旅行統計によると、旅館、ホテル等の宿泊数は前年同月比▲52.3%の1,785万人泊。外国人は▲95.0%の24万人泊となった。



■2021年2月訪日外国人客数


 以下のグラフが2017年-2021年までの訪日外国人客数である。


 日本政府観光局が発表した2021年2月の訪日外国人客数は2月単月で7,400人となった。同年前月比は▲84.1%と大幅減。前年同月比は▲99.3%となった。


 国別で見ていくと、アジアでは中国7,400人、ベトナムは200人、と上位2か国からの入国者は大幅に減少。韓国は900人、台湾は400人と先月微減となった。


 英国70人、フランス80人、ドイツ50人、米国400人と大幅に減少。緊急事態宣言の延長による水際の対策の強化と新規入国一時停止の影響が大きく数値に現れた。



■免税店総売上高の推移 


以下は百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。


 2021年2月の訪日外国人数は緊急事態宣言発令によるビジネス・レジデンストラックの一時停止処置により大幅に減少。しかし、免税売上高は約43億円と先月の39.9億円に比べて増加。これで5か月連続の増加である。


 購入品の不動の1位は変わらず化粧品であり2位はハイエンドブランド。パスポート別購入者のトップは中国本土。以下台湾、香港、韓国と続く。



以下は購買客数と購買単価の図である。


 2月の購買客数は約1万人と先月から1千人ほど減少。一人あたりの購買単価は約40万円に上昇し、3か月連続で減少から反転。これは中国などのアジア諸国に旧正月に伴う消費購買意欲が向上したことと考える引き続き免税店での化粧品やハイエンドブランドの購買意欲の高さが伺える。


■外国人延べ宿泊者数


 以下の図は観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移である。


直近発表の速報値では外国人延べ宿泊者数は約24万人と先月の45万人から▲54%。減少した要因としては、引き続きGoToトラベル事業の一時停止が影響しているからだろう。

 以下の図は2021年1月からの都道府県別外国人延べ宿泊数のランキングである。


 グラフの集計を2021年1月から新たに集計を開始。このランキングは在日外国人がどこの県に宿泊しているかがわかる貴重なデータだ。在日外国人の宿泊が少ない県というのは、インバウンド客にも人気がない県というのが明白なので、どのように県の観光の魅力を高めるのかを考える発射台としてほしいと思っている。何故かというと、過去のレポートでも述べたように、1日あたりの宿泊費と飲食代の相関は高いからだ。つまり、宿泊数が多く、宿泊単価が高ければその地域の飲食店への経済効果は高いと言える。なので、各都道府県はいかに外国人観光客に宿泊してもらえるような仕掛けを考える必要がある。




■今後のインバウンド市場の予想


前回のレポートからの一般訪日観光客の受け入れのシナリオは以下の通り変更する。


メインシナリオ:2022年1月以降 ※2021年7月以降から変更

楽観シナリオ:2021年10月以降 ※2021年4月以降から変更

悲観シナリオ:2022年4月以降 ※2021年10月以降から変更



【ポジティブ材料】

・日本でのワクチン接種加速期待

・日本政府の2030年訪日観光客数6000万人の目標

・欧米各国でのワクチン接種数の加速

・欧米、アジア各国でワクチンパスポート議論の加速


【ネガティブ材料】

・GoToトラベル事業の再開未定

・ワクチン接種の遅れ

・変異型の第4派懸念

・オリンピックに海外一般客の受けいれ見送り


 日本政府を含む5者協議で東京オリンピック・パラリンピックに海外一般観客の受け入れの見送り決定を受け、一般訪日観光客受け入れのシナリオを大幅に変更する。


 メインシナリオを2021年10月から2022年1月以降へ変更する。それに追わせて楽観シナリオ、悲観シナリオも上記のように変更。


 シナリオ変更理由としては2つある。1つ目は東京オリンピック・パラリンピックに海外一般観光客の受け入れを見送りしたことによって、パラリンピック閉会式の2021年9月5日まで訪日観光客の受け入れは無いという事が断定できる。2つ目は日本のワクチン接種の遅れが想定されるからだ。


 オリンピックに海外一般客の受け入れを見送った事は、多数のインバウンド業者を失望させた。また、事業継続がますます厳しい状況になることが予測され、オリンピック需要を見込んで建設が進んでいたホテル事業や民泊業者、その他のインバウンドサービスを提供する事業主は戦略の見直しを迫られよう。


 欧米やアジアの動向をみると、国民へのワクチン接種が加速しており、変異株が蔓延しつつも、経済活動完全再開に向けて大きく動き出している。特に米国はバイデン大統領が5月1日まで全国民へワクチンを供給させると宣言しており、早くても7月には経済活動が完全に再開されるという見方が大半だ。筆者の米国人の友人に聞けば、フロリダなどでの経済活動は完全に元通りに戻っていると聞く。それに加えて、ワクチンを接種したもの対するワクチンパスポートの発行により、欧州域内やアジアの一部の国でのトラベルバブルなどの議論が大きく邁進している。


 そのよう中、日本国内を見ると、緊急事態宣言が解除されたにもかかわらず、GoToトラベル再開未定、飲食店への時短営業要請延長など、経済活動が大きく制限されたままである。そのような中、ワクチン接種が始まったものの、高齢者じゃない一般国民のワクチン接種は未定である。このような状態では、インバウンドもアウトバウンドもワクチン未接種者は2週間の隔離を強いられ、国境をまたぐ旅行のモメンタムを損なう。


 海外一般旅行客の訪日需要は高いままだが、ワクチン接種が遅れる日本やワクチン接種者の隔離なしでの入国を認めることが遅れれば、せっかくの訪日需要が蒸発してしまう恐れがある。とても残念でしか思えない。




筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。


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