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東京オリンピック開催へ邁進!?2020年9月月次インバウンドレポート

2020年9月月次インバウンドレポート


2020年10月

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大



■9月の出来事要約


 2020年9月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、中国武漢で発生した新型肺炎COVID-19の感染者が全世界で3300万人を突破。日本では来年に延期された東京オリンピック開催を巡る報道や、入国制限緩和の報道が目立った。ヨーロッパではコロナウイスル感染者数が再び増加傾向にあり、部分的に都市封鎖、ロックダウンするなどのニュースが報じられた。日本政府観光局が発表した8月訪日外国人客数は単月で8700人となった。



■ツアー参加人数


 弊社では現在当社のガイドラインに沿って在日外国人向けに東京と京都においてツアーを遂行。また、今後訪日予定の外国人向けにバーチャルツアーを運営。

参考まで以下の図はツアーに参加した人数の前年比との比較。※4月・5月はゼロ。


■9月主なインバウンド関係ニュース


・2020年8月訪日外国人客数は8700人。これに関してはこちらのレポートを参照。

・日本国政府はタイ、ベトナム、マレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾とレジデンストラックを運用開始。またシンガポールとビジネストラックを運用開始。詳細は外務省の国際的な人の往来再開に向けた段階的措置についてを参照。


・中長期滞在者の入国再開に向けて1日1000人程度の受けれを政府が検討。記事の詳細はこちら


・政府は日本人の海外への渡航中止勧告を10月以降段階的に解除。


・IOCと大会組織委員会は東京オリンピック・パラリンピックの簡素化に向けて52の項目で見直し合意。また、聖火リレーを3月25日にスタート。


・タイが10月よりプーケットモデルと呼ばれる方法で、長期滞在の外国人観光客の受け入れを開始。第一弾は中国広州から120人。10月8日にタイプーケットに到着予定。記事の詳細はこちら


・ヨーロッパでコロナ患者数増加が再び増加傾向で一部の都市を封鎖。ユーロ圏でも各国の足並みがそろわない恰好となっている。詳細記事はこちら


・日本百貨店協会が発表した8月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比▲86.1%となった。


・令和3年度観光庁予算概算要求は167億円と前年の170億円に比べて▲3億円。MICE誘致の促進や通訳ガイド制度の充実・強化など昨年より予算増額。




■2020年8月訪日外国人客数

 以下のグラフが2017年-2020年までの訪日外国人客数である。


 前年同月比は▲99.7%、同年前月比+128%となり、先月から倍増。これは在留資格者の再入国の制限解除があったことが要因だろう。今後もレジデンストラック、ビジネストラックの締結国が増えれる予定で、訪日外国人客数の数は大きく増加していくと考える。


 国別で見ていくと、アジアでは中国:1600人と先月から倍増。ベトナムは1100人とこちらもほぼ倍増。韓国:700人、台湾:400人、英国:200、フランス200人、ドイツ:100、米国:700人、カナダ80人となった。どの国も先月からほぼ倍増となった。



■免税店総売上高の推移

以下は百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。


 2020年4月に5億円という過去最低額から8月は35.5億円まで回復。購入品の不動の1位は変わらず化粧品であり2位はハイエンドブランド。またパスポート別購入者のトップは中国本土。以下台湾、香港、韓国の3か国で月毎に順位は入れ替わり、その下にマレーシア、タイ、シンガポールと続く。

 以下は購買客数と購買単価の図である。


2月から購買客数は激減も、一人あたりの購買単価は大きく上昇。2020年3月から厳しい入国制限を敷いているのにも関わらず、また訪日外国人客数がまだ月一万人も回復してない中、購買客数は6月から1万人を回復し、購入単価は大きく上昇。この厳しい入国制限の中、引き続き免税店での化粧品やハイエンドブランドの購買意欲の高さが伺える。

■今後のインバウンド市場の予想


 この一か月で日本国民のコロナ禍での意識が大きく変わったと思う。10月からGoToトラベルの東京発着の追加や9月の4連休の人出の多さなどを見ると、日本人の“旅行をする”という行為のハードルが大きく下がったと思われる。加えて来年に延期された東京オリンピック再開に向けての報道や国際大会の再開のための海外選手の受け入れ、日本人の海外渡航のレベル引き下げなどの報道等で地ならしが始まった。


 引き続き厳しい入国制限は続くも、各国とレジデンストラック、ビジネストラックの運用開始や、全世界から新規在留資格者の入国受け入れなど、徐々に入国制限を緩和していく方向に舵を切っている。一部のニュースでとある株式ストラテジスト・エコノミストが来年の春節までには観光客の受け入れを再開との見通しなども散見され始めた。


 このように国境を跨いだ人の動きの再開に向けて大きく、そしてスピード感が出て来たと筆者は感じている。


 前回のレポートではから引き続き海外からの一般訪日観光客の受け入れのシナリオは以下の通り。


メインシナリオ:2021年3月以降

楽観シナリオ:2020年12月以降

悲観シナリオ2021年7月以降


【ポジティブ材料】


・菅内閣の政策方針。感染症対策と経済対策を同時に行っていく政府の方針。レジデンストラックやビジネストラック運用開始で人の往来が徐々に増えていく。また2030年訪日観光客数6000万人の目標に変更はなく、観光庁の令和3年の予算概要に大きな減額はなかった。

・欧米日中の製薬会社でコロナウイスルワクチンの開発競争が進んでおり、アメリカのトランプ大統領は大統領選挙前にまでにワクチンは完成するという見通しを示している。また、イギリスや中国でも開発中のワクチンも最終段階に入っている。

・タイ国のプーケットモデルで10月より観光客の受け入れが再開。ヨーロッパ以外の地域や国では一般観光客の入国拒否している国が大半だが、タイの取り組みがどうなるのかは引き続き注視したい。

【ネガティブ材料】


・世界でのコロナウイルス感染者数の動向。引き続きアメリカやブラジル、インドでの感染拡大が進んでおり厳しい状況は続く。また、EUでも再び移動制限が掛けられているのを見れば、国境を跨ぐ人の移動制限緩和はまだ先になる可能性がある。


・日本国内の感染者増加で他国が日本への渡航禁止を延長する可能性が高くなる。また日本人の入国拒否が延長される可能性もありうる。


・米国大統領選挙でバイデン氏が当選した場合、コロナウイスル対策で厳しい対策を講じるリスクがあり、人の移動が制限される可能性がある。ここは注視しておかなければならない。


・インフルエンザの流行時期におけるコロナの感染状況。個人的にこれが一番の懸念事項と考える。



 先月から引き続き一番の懸念事項は国内でのコロナ新規感染者数が減っておらず、各国との入国制限緩和交渉が難航しているのではないかという点だ。入国制限の協議は双方の国同士の感染者数が低位に推移している状況が前提だからだ。


 また感染が拡大している欧州や米国とのビジネスでの人の往来の再開の目途が見えてこない。そして豪州やNZは厳しい入出国制限を自国民に課しており、欧米豪の観光客をターゲットにしている業者にはまだまだ厳しい状況は続く。日本のインバウンド重要顧客は欧州・北米・豪州地域であり、今後の成長のためにもこれらの地域からたくさんの観光客を受け入れなければならない。そのためにも政府はアジア以外の国とのビジネストラックを早期に開始できるように尽力しなければならないと考える。




筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事


会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。


 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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