インバウンド・国内旅行関連銘柄の投資情報
9月第3週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し
今週のインバウンド及び国内旅行関連銘柄の情報
インバウンド銘柄の主な材料は:
・Jフロントリテイリングは大丸松坂屋百貨店の9月度の既存店売上についてコメント。14日までの累計で対前年3%減(対前々年40%減)で推移している。ラグジュアリーブランド・美術宝飾品などが好調に推移しているものの、主要都市における緊急事態宣言による入店客減少が大きな影響を与えている。
・ANAは国内線機内サービス用に環境に優しい保冷剤を導入すると発表。国内線の機内食や飲料の保冷に使用しているドライアイスを、繰り返し使用可能な保冷剤に変更する。ドライアイスの使用量削減により、CO2排出量を年間約1700t、使用後に出る梱包材、敷きマットなども年間約30t削減することができ、コストも年間約2億円減となる。
・JALは国内線10月の追加減便を発表。今回発表分の減便を反映した10月運航率は計画比75%となった。9月の運航率64%より改善はしているものの、需要動向に応じてさらに追加減便する可能性もある。
・資生堂はプレステージスキンケア製品の供給拠点を大阪に設立したことを発表投資額は635億円で、化粧品工場や物流センターなどから成る。工場は高級スキンケアブランド「SHISEIDO」などを製造する。23年以降に年間1億6千万個の製品製造を目指し、同社が成長市場と位置づける中国など海外向けの製品も製造する。
・マツモトキヨシは8月の月次売上を発表。既存店は前年同月比5.7%減、全店は同2.9%減となった。既存店の売上が前年比でマイナスになるのは2か月連続。同社は都市型店舗が多いことから、主要都市の緊急事態宣言による来客減少の影響を受けている。
国内旅行関連銘柄の主な材料は:
・HISは、アメリカの現地法人によるサステナブル観光の新ブランド「Copolo」の始動を発表。アメリカおよびカナダ在住者向けに、新たにオンライン旅行予約サイトを立ち上げた。このサイトでは、気候変動対策のスタートアップ企業であるノルウェーのCHOOOSEとの提携によって、旅行者が自身の旅行で排出される二酸化炭素をフライト、ホテル、レンタカーごとに計算することができる。旅行予約の際、カーボンオフセットのオプションを加えることもでき、カーボンオフセット料金はCHOOOSEを通じて二酸化炭素排出削減を目指すプロジェクトの支援に充当される。
主要指数(週)
TOPIX(先週差)
始値2084.71 高値2120.18 安値2079.87 終値2100.17 (+8.52)
予想PER17.79 予想PRB1.39 予想EPS 118.05
※モーニングスターより
日経平均株価指数(先週差)
始値30,372.02 高値30,795.78 安値30,202.51 終値30,500.05 (+118.21)
NT倍率14.52
インバウンド・旅行関連銘柄の株価週間パフォーマンス
9月3週目の株式相場のまとめ
日本株は底堅い一週間であった。引き続き自民党総裁選後を見据えた期待先行買い意欲が強い事が伺えた。TOPIXは4週連続上昇で31年ぶりの高値更新。日経平均株価は年初来高値を更新した。
アメリカ株は景気減速懸念や、バイデン氏の支持率低下、FOMCのテーパリングなどの材料で、最高値からの下落基調が続く。今週はCPI、小売売上高の重要指標を無難に通過した一方、中国のエバーグランデによる中国の不動産リスクが意識された。
インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き
以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。
モニタリングをしているインバウンド銘柄の株価上昇が一服した一週間であった。行動制限緩和による期待感から、オリエンタルランドの上昇が目立ったものの、直近急ピッチに上昇した化粧品関連銘柄の利益確定売りが目立った。
国内旅行関連銘柄は急ピッチに上昇したあとの利益確定売りに押された一週間であった。足元の行動制限緩和による期待感で買われていたものの、材料待ちの一週間でもあった。引き続き鉄道は重たい展開が続く。
9月4週目の材料
20日
日本休場
21日
住宅着工件数(米)
22日
日銀政策決定会合(日)
FOMC(米)
23日
日本休場
ユーロ圏製造業PMI(欧)
ユーロ圏非製造業PMI(欧)
新規失業保険申請件数(米)
景気先行指数(米)
24日
消費者物価指数(日)
新築住宅販売件数(米)
株式相場の見通し
日本株は一旦踊り場相場の局面になると考える。自民党総裁選立候補者が出そろい、9月29日に開票が行われる。下馬評は河野氏だが、党員票では岸田氏リードの報道もあり、決戦投票の可能性が残される。各候補者の政策が示されたのもあり、政局相場は一旦小休止になろう。
そのような中、今週は注目のFOMCがあり、テーパリングがいつ開始されるかの議論が再びマーケットをにぎわす可能性がある。加えて、中国のエバーグランデの動向にもマーケットは神経質になっており、日本株が再び海外動向に振り回される事に注意をしなければならない。
旅行・インバウンド関連株も期待先行買いが一服したと考える。政府の行動制限緩和の中身待ちという事もあるが、ここは押し目買いか、期待先行買いが剥がれたかの見極めをしなければならないと考える。旅行・インバウンド関連企業の足元の業績は相当厳しいことには変わりがない。
筆者紹介
・立命館大学卒
・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社
・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当
・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)
・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事
会社紹介
Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。
また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。
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