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4年に一度の最も大切な週!10月第5週のインバウンド関連株及び国内旅行関連株の動きと見通し

2020年11月1日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大



主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1623.13 高値1628.81 安値1577.45 終値1579.33 (-45.99)

予想PER26.04 予想PRB1.10 予想EPS 60.65 (-0.46)

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値23,520.78 高値23,572.60 安値22,948.47 終値22,977.13 (-539.46)

NT倍率14.54




10月5週目の株のまとめ


 米国の追加刺激策の成立は不透明になり、欧米でのコロナ患者数は急増。ヨーロッパでは再びロックダウンを実施。それに伴い世界的に株は利益確定の売りもありながら、総じてリスクオフの動きとなった。加えて、翌週に控えている大統領選や月末のポジション調整もあり、日経平均は5日連続で続落となり、ドル円も104円台前半で推移。マザーズは3週連続大幅続落となった。



11月1週目の株の材料と動き


2日


3日

日本休場

ISM製造業景気指数(米)

大統領選挙(米)


4日

耐久財受注(米)

ADP雇用統計(米)

貿易収支(米)


5日

ISM非製造業景気指数(米)

新規失業保険申請件数(米)


6日

雇用統計(米)

FOMC(米)




 11月1週目の材料は①大統領選挙の結果、②コロナ感染者数、③米国企業決算発表、④日本企業決算発表、⑤ドル円の動向だろう。まず、注目は大統領選挙だ。現在はバイデン氏が優勢と伝えられており、また事前郵便投票は6000万票を超えたという報道もあるが、日本時間の11月4日までには結果が判明しない可能性がある。また両陣営も敗北宣言をすぐには出さないであろう。そうした場合、結果判明が12月、最悪来年の1月までずれこむ可能性があり、ボラティリティが高まる可能性がある。


 その様な中、欧米でのコロナ感染者数が増加の一途を辿っており、こちらの動向にも注視が必要であろう。個別企業決算も本格化。FOMCや雇用統計の発表もあり、年末相場に向けて方向性を決定する大事な一週間となろう。



インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き


 以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。

 ANAが発表した21年3月期2Qの売上高は2918億円、営業利益が▲2809億円、純損益が▲1884億円の大幅赤字決算を発表。旅客数(上期)はANA国際線前期比▲96%、ANA国内線同▲80%、Peach同▲80%となった。また、通期業績予想は売上7400億円、純損益▲5100億円を見込む。前提は21年3末で国際旅客が5割減、国内旅客が3割減。航空機の減損等で1100億円の減損。年間配当は無配とした厳し業績見通しとなった。それに伴い株価は大きく下落。


 また、30日にJALも決算を発表。21年3月期2Qの売上高は1947億円、税引き前損益▲2282億円、累計純損益▲1612億円の大幅赤字となった。旅客数(上期)は国際線前年同期比▲98%、国内線同▲76%となった。また通期業績予想は売上5300―6000億円、純損益▲2400―▲2700億円を見込む。1000億円のコスト削減、900億円の投資抑制を目指す厳しい決算内容となった。


 コーセーは訪日(インバウンド)需要蒸発で国内新工場稼働を1年延期を決定。新工場は最大250億円を投じて、山梨県南アルプス市に建設を予定だった。それを受け株価は急落。また30日に発表された決算では売上高が前年同期比23.7%減の1302億円、営業利益が同85.8%減の40億円、純利益が同83%減の30億円と大幅な減収減益となった。コロナの影響で化粧品事業の主要ブランドが総じてマイナス成長。中間配当と期末配当は60円とし、年間120円予定(70円減配)という厳しい決算内容となった。



以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。

 

 国内旅行関連株の材料は、JR東海が発表した21年3月期2Qの決算は、売上高3378億円(▲64.6%)、営業損益▲1135億円(前期は4068億円)、純損益▲1507億円の赤字転落となった。また中間配当は65円、期末配当も65円予定で年間130円と20円減配を予定。通期業績予想は売上高8630億円(▲53.2%)、営業損益▲11850億円、純損益▲2580億円を想定。前提は、年内の鉄道利用は足元の水準(18年度比40%の水準)が続き、年度末に60%、来年6月には80%に戻ることを想定し、また680億円のコスト削減を計画。それを受けて株価は大きく下落。


 H.I.Sが発表した9月旅行取扱高合計は前年比94.8%減の22.9億円。内訳は海外旅行が99.3%減の2.7億円、国内旅行が64.6%減の19.8億円、訪日旅行が98.5%減の0.3億円。国内旅行ではGoToトラベルキャンペーンにより9月中旬より需要が大きく回復しているが反映は10月以降になる。


 藤田観光は保有する投資有価証券を売却。上場4銘柄の売却で売却益は約3億円。事業規模(前期売上689億円、営業利益2.8億円)を考慮すれば一定の影響。事業環境が厳しくキャッシュ確保の動きか。また20年12月期の通期見通しは引き続き未定となっている。

 一方、星野リゾートは21年4月期(20/11~21/4)の運用状況・分配金予想を上方修正。営業利益15億円⇒18億円、純利益11億円⇒14億円、分配金5107円⇒6340円に上方修正。要因は20年6月以降、星野リゾート運用物件の宿泊需要回復があるが、今期は前期実績の営業利益33億円、純利益29億円、分配金13302円から半減のイメージ。


 引き続き国内旅行関連の株式もTOPIXを大幅にアンダーパフォームしており、厳しい事業環境を映しだしている。また、GoToトラベルの効果が判明するのはこれからであり、その内容次第で底打ち反転か、さらに下落する可能性もあることを注視しておかなければならいだろう。



筆者の個人的見解


アノマリーでは大統領選後から株価は上昇する傾向があるが、今年はやや様子が違うと思っていた方がいい。最悪の場合は12月、来年の1月まで大統領が決まらない事を想定して、それに伴い政治リスクを嫌うマーケットのリスクオフの動きに注意が必要だ。また、欧州でコロナが再拡大。欧州各国は再びロックダウンを課し出した。失業補償や営業補償にかかる財政出動があり、欧州南北の財政規律を巡る対立再燃リスクも頭の中に入れておく必要がある。


 日本株は続いていた商い低調な閑散相場というより、大統領選の結果動向でボラティリティーが高まるだろう。個別企業決算も本格化するが、やはり米国の大統領選の行方に振らさせる相場が続くと考えられる。先週も述べたが、日本株は外国人投資家からはアンダーウェート継続で、和製ロビンフッダーである個人投資家が相場を下支えている面もある。たが、マザーズなどの新興株式市場が利益確定の売りなどから崩れ始めており、日本株のモメンタムの悪化は続くと予想する。


 また、ドル円相場も注視しておかなければならない。欧州、中国、米国も自国通貨の切り下げの思惑があり、円の独歩高になる可能性がある。加えて大統領選の不透明感からのリスクオフでドル円がさらに売られる可能性があり、ドル円相相場が株式市場と再び相関するリスクも考えておかなければならないだろう。


 筆者の考え方は変わらないが、TOPIXのPERは引き続き過去平均と比べて高水準にあり、各社のトップラインが伸びない中でのコストカットによる増益効果で一時的にEPSが回復、もしくは伸びてるが、重要なのは今後どうトップラインを伸ばしていくかだ。今後決算発表を消化しながら、赤字でも赤字幅を減らすためのコスト削減努力をする企業が評価されるだろう。



筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事

会社紹介


Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。


 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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