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コロナ再拡大を警戒せよ!10月第3週のインバウンド関連株及び国内旅行関連株の動きと見通し

10月第3週のインバウンド関連株及び国内旅行関連株の動きと見通し

2020年10月18日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大



主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1645.03 高値1651.10 安値1615.60 終値1617.69 (▲29.69)

予想PER26.54 予想PRB1.17 予想EPS 60.92 (▲0.05)

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値23,588.74 高値23,667.90 安値23,382.67 終値23,410.63 (▲209.69)

NT倍率14.47




10月3週目の株のまとめ


米国の景気刺激策の行方の不透明さが増し、またヨーロッパでのコロナ感染者数の増加。マーケットはそれに反応しつつも米国企業決算やアップルのイベントを受け、ハイテク株が買われる場面があったものの、日経平均株価は21年8月期の業績が過去最高になる見通しを発表したファストリテイリングに支えられる一週間となった。ドル円も105円前半台、米国金利も下落する場面もあったが、リスクオフというより様子見ムードという一週間であった。



今週の視点


IMFは10月13日発表の「世界経済見通し」で2020年の世界経済の成長率を▲4.4%とし、前回見通し(6月)から0.8ポイント上方修正した。中国や先進国においてロックダウンが緩和された後、経済活動が予想よりも早く回復しはじめたことが修正要因として指摘している。国別でみると、中国が1.9%のプラス成長なのに対して、欧州諸国のマイナス幅が大きい。コロナ感染拡大の状況が経済成長に影響を与えているといえよう。

■世界の実質GDP成長率見通し

出所:国際通貨基金(IMF)発表資料より作成



10月4週目の株の材料と動き


19日

貿易統計(日)

小売売上高(中)

鉱工業生産(中)

7―9月期GDP(中)


20日

住宅着工件数(米)


21日


22日

中古住宅販売件数(米)

新規失業保険申請件数(米)

景気先行指数(米)

大統領候補討論会(米)


23日

消費者物価指数(日)

ユーロ圏製造業PMI(欧)

PMI速報値(米)



 10月4週目の材料は①米国企業決算、②米大統領選挙の行方、③米国追加景気刺激策の動向、④コロナ新規感染者数の推移だろう。まず、米国企業の決算が本格化する。今週は目立った経済指標の発表は少なく、代わりに個別企業の業績に注目が集まろう。また、週後半に最後の米国大統領候補の討論会があり、大きな注目を集めよう。加えて米国でのコロナ新規感染者数は増加の一途を辿っており、コロナ対策が不十分なトランプ政権への批判と両大統領候補陣営の罵り合戦がエスカレート、米国社会はさらに分断と混迷が進む可能性があり、マーケットへの影響を注視する必要がある。ただ、どちらが大統領になっても、マーケットは追加財政政策を期待しており、ネガティブに動く事はないが、バイデン氏が大統領になった場合のコロナ対策が思ったより厳しい内容になる可能性をマーケットはまだ織り込んでいないので、注意が必要。


 一方の日本株は2・8月期企業決算発表が一巡し、大きな材料がない一週間となる。最近は米国株との相関が落ちてきており、商いは少ないものの、底堅い動きとなっている。特にマザーズが活況であり、相場は個人投資家に支えられている格好となっている。また、欧米でのコロナ患者が急増しており、日本も新規感染者数は減っていないので、今後の急増リスクと東京都知事の動向にも注視が必要になってくるだろう。



インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き


以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。


 今週モニタリング銘柄の主だった材料としては、ANAに4000億円融資。三井住友銀と政投銀が1300億円、みずほ銀が600億円、三菱UFJ銀が500億円、三井住友信託銀が300億円を貸し出す見通し。また年内にも2000億円規模の公募増資の予定。資本を増強し、財務基盤が安定する見込みも、人員削減や給与削減など厳しい経営状況が続く。

 

 またJフロントリテイリングが中間決算を発表。21年2月期2Q累計の営業損益は▲206億円、純損益が▲163億円と赤字。通期も営業損益が▲206億円、純損益が▲186億円とコスト削減等で下期の営業損益黒字化を図る。Jフロントは他の百貨店と比べてコスト意識が強く、マーケットはJフロントのコスト削減を評価している。マツモトキヨシはベトナムへ進出。



以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。


 GoToトラベルの予算再分配の報道は材料にならず、引き続き利益確定の売りや決算発表待ちで株価は軟調に推移。星野リゾートは運営する施設の3分の2てが前年並みの稼働率に戻った。また今秋の予約数が前年を上回る見通しと好調。またJR東海が発表した10月前半の東海道新幹線の利用状況が前年比▲56%まで改善。9月は前年比▲62%なったものの、8月から13ポイント改善。





筆者の個人的見解


 日本株は外国人投資家が5週間ぶりに買い越しも、活況とは言えず、売買代金も1兆円を下回る日が目立つ。方向感もなく、日経平均株価は寄与度が高い銘柄に支えられている状況。TOPIXはじりじり下がっており、NT倍率が上がってきている。これから日本企業の2Q決算が本格化し、高すぎるバリュエーションの調整が入ろう。また、米国株との相関が下がって来ており、TOPIX銘柄は業績相場となろう。一方、唯一活況なのはマザーズだ。今後、第3次補正予算で一人当たり5万円の定額給付が支給されるなら、マザーズ市場はまだ活況が続くと考えてもいい。ただ、限られた銘柄に買いが集まっており、バリュエーションをみたら手を出しづらいと思う投資家がほとんどだろう。


 アメリカ大統領選後のアノマリーでは株式は上昇する傾向があるが、財政政策や経済対策では両大統領の政策は株式にとってプラスに働くだろう。しかし、バイデン氏が大統領になった場合に、厳しいコロナ対策を打ち出す可能性があり、それに伴いどれぐらいの経済損失が出る事はマーケットは織り込んでないと思われる。また、ヨーロッパでも厳しいロックダウンを課し始めており、これに伴う経済損失は計りしれない。各国とも巨額の財政支出を賄うために赤字国債を発行しており、欧州が財政規律で再び揉める可能性のリスクを注視しておかなければならない。


 先週から引き続き、筆者の考え方は変わらないが、TOPIXのPERは引き続き過去平均と比べて高水準にあり、各社のトップラインが伸びない中でのコストカットによる増益効果で一時的にEPSが回復、もしくは伸びてるが、重要なのは今後どうトップラインを伸ばしていくかだ。今後決算発表を消化しながら、赤字でも赤字幅を減らすためのコスト削減努力をする企業が評価されるだろう。






筆者紹介


・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事

会社紹介


Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。


 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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