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アウトバウンドから復活する。5月第2週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し

5月第2週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し


2021年5月14日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大



主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1936.91 高値1955.51 安値1845.72 終値1883.42 (▲49.63)

予想PER17.40 予想PRB1.30  予想EPS 108.24

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値29,376.89 高値29,685.41 安値27,385.03 終値28,084.47 (▲1,273.35)

NT倍率14.91



インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き


インバウンド銘柄の主な材料は:

・資生堂は21年12月期1Q決算を発表。売上は前年同期比7.5%増の2,440億円、営業利益は同67.6%増の108億円。D&G契約解消による特別損失の一部を計上したことから純損益は▲15億円の赤字となった。日本市場は感染拡大の影響で伸び悩むが、中国など海外市場で高級化粧品の販売が好調である。また、パーソナルケア事業売却に伴い業績予想を修正。営業利益は270億円、純利益は特別利355億円を見込む。


・富士急行は21年3月期末決算を発表。純損益は▲27億円の赤字となった。売上は前期比42%減の304億円、営業損益は▲30億円(前期は44億円の黒字)。主力の運輸業が国内外の観光客の利用が大幅に減少した結果、営業損失を▲29億円を計上。年間配当は9円減配の6円に。22年度の業績予想は営業利益25億円、純利益11億円を見込み、年間配当は10円を計画する。


・寿スピリッツは21年3月期末決算を発表。純損益は▲5億円の赤字となった。売上は前期比49%減の232億円、営業損益は▲28億円(前期は64億円の黒字)。インバウンド需要の消失などにより土産物向けの菓子製品の販売が落ち込んだことが響いた。一方で下半期は、通信販売の推進やコスト削減により黒字転換した。年間配当は10円減配の30円。22年度の業績予想は非開示としている。


・マツモトキヨシは21年3月期末決算を発表。売上は前期比6%減の5,569億円、営業利益は同16%減の315億円、純利益は同18%減の215億円と減収減益に。緊急事態宣言や出入国制限で都市型店舗の国内外の客数が減少したことが影響した。年間配当は前期と同じ70円。10月にココカラファインと経営統合するため、業績見通しは上半期分を公表。売上2,740億円、営業利益150億円、当期純利益110億円と前上半期比で若干の増収増益を見込む。中間配当は35円を予定している。


・力の源ホールディングスは21年3月期末決算を発表。純損益は▲23億円の赤字で、年間配当は無配に。売上は前期比43%減の165億円、営業損益は▲9億円(前期は6億円の黒字)。国内・海外店舗ともに売上が減少し、臨時休業等に伴う特別損失の計上により厳しい決算となった。一方で、下期は売上が回復傾向で、営業利益はコスト削減が奏功し黒字転換目前となっている。22年3月期の純損益は2億円の黒字を見込む。また、同社は第三者割当増資や新株予約権の発行により、計35億円の調達を予定していることも発表した。



国内旅行関連銘柄の主な材料は:

・KNT-CTホールディングスは21年3月期末決算を発表。純損益は▲284億円の赤字となった。売上は前期比77%減の878億円、営業損益は▲270億円(前期は▲16億円)。旅行取扱高は国内が70%減、海外が99%減と大幅減少したことが業績悪化の背景。21年3月末時点で96億円の債務超過となったが、近鉄GHDに150億円、主要行2行が資金を拠出する合同会社2社に計250億円の優先株を発行し、400億円の資金調達をすることで、6月末には債務超過が解消する見通しである。併せて発表した22年3月期の業績予想でも、▲148億円の最終赤字を見込んでいる。


・オープンドアは21年3月期末決算を発表。純損益は▲6.5億円の赤字となった。売上は前期比77%減の11億円、営業損益は▲7.7億円(前期は15億円の黒字)。Go To の効果もあり3Qまでは回復傾向が見られたものの、4Qは緊急事態宣言発出の影響を大きく受け着地した。年間配当は無配を継続。22年度の業績予想は未定としたが、ワクチン接種が順調に進めば国内旅行においては年末に向けて、海外旅行においては来年以降に需要の顕著な回復が予想している。トラベルコにおいては、コロナ後を見据え人員を増強し開発スピードをさらに高め、回復期の需要の取り込みを狙う。


・藤田観光は21年12月期1Q決算を発表。売上は前年同期比51%減の51億円、営業損益は▲57億円、純損益は231億円。太閤園の売却などで特別利益を357億円計上したことで最終黒字に転じた。ワシントンホテルなどを運営する主力のWHG事業の売上高が66%減の18億円と大きく落ち込んだ。早期希望退職や報酬・給与減額実施により、年間約19億円のコスト削減効果見込む。


・エアトリは21年9月期2Q決算を発表。売上は前年同期比24%減の112億円、営業利益は20億円、純利益は12億円と黒字転換した。国内旅行領域を中心に旅行需要を着実に取り込み、安定的に収益を確保。旅行領域以外の事業も好調に推移し、事業ポートフォリオの分散及び再構築を加速させている。通期業績予想は変更しておらず、売上243億円、営業利益13億円、純利益7億円を見込んでいる。



インバウンド・旅行関連銘柄の株価週間パフォーマンス



5月2週目の株式相場のまとめ


 アメリカの景気回復期待からインフレ上昇懸念が再燃。消費者物価指数も強い数値となり、ハイテク株中心に大きく売られ、それに伴うリスク回避から他の業種なども連れ安となった。FRBのテーパリングが強く意識され、一旦キャッシュポジションにする動きも見られた。


 日本株も個別決算発表を材料視しつつも、米国市場の流れを受けれ、連日大幅安となった。週末は自律反発があったものの、日経平均株価は先週末から▲1,273.35円下落した。




インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き

以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。





 連日の株安、緊急事態宣言の延長と地域の拡大などもあり、インバウンド関連銘柄も大きく値を下げる一週間であった。特に、決算を発表したマツモトキヨシはココカラファインとの合併のため通期の業績予想は未定としていたが、緊急事態宣言、外出自粛、インバウンド消滅の3重苦におかれ、厳しい状況が続くとの見方から株価が大きく下がったと考えられる。 


 一風堂を運営する力の源ホールディングスは新型コロナ感染拡大による影響で一時的に業績悪化した財務基盤の建て直しやコロナ禍による経済環境の変化にあわせた出店投資にため、第三者割当と新株予約権を発行し資金を調達。希薄化は約24.7%。それを嫌気されたのか、株価は大きく下げた。


以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。



 連日の株安もあり、厳しい状況におかれている国内旅行関連株は大きく値を下げる一週間であった。KNTCTは近鉄ホールディングスからの資本支援の材料もあり、週初は大きく値を上げて始まったものの、全体の株安に連られる形となった。またオープンドア、藤田観光などの決算発表があり、厳しい内容となった。反対に週末引け後に決算を発表したエアトリは事業ポートフォリオの分散化で黒字化を達成、好決算となった。




5月3週目の株の材料と動き

17日

NY連銀製造業景気指数(米)


18日

GDP(日)

住宅着工件数(米)


19日

鉱工業生産指数(日)


20日

機械受注(日)

新規失業保険申請件数(米)


21日

消費者物価指数(日)

ユーロ圏製造業PMI(欧)

ユーロ圏非製造業PMI(欧)



筆者の個人的見解 


 アメリカのテーパリングが意識され、株式、債券、仮想通貨が売られるリスクオフの一週となった。ただ、冷静に見れば、アメリカ株や仮想通貨は最高値にあり、そこからの調整と考えられよう。しかし、パウエル議長が一時的なインフレを認めながらも、今後商品市況からくるコストプッシュインフレ、景気回復加速によるインフレ圧力が強まれば、高バリュエーション株やグロース株は厳しい状況が続くと考えられよう。 


 日本株はTOPIXのPERが17倍台に戻り、割高でもなく、割安でもなく、値ごろ感が出てきた水準になったと言えよう。連日の株安と企業の好決算により、バリュエーションの修正がある程度進んだと考える。

 引き続き米国のSell in Mayやマージンデットデットに注視しながら、低PER、低PBR、高ROE、高EPS成長の割安株や成長株の押し目を拾っていく戦略でいいと思っている。


 インバウンド、旅行関連銘柄は一旦ここで底を打ったと考えられる。各企業の努力もあるが、ワクチン接種が加速すれば、日本に経済が正常化されよう。その時は国内旅行、アウトバウンド、インバウンドの順番で回復すると考える。とくに、ワクチン接種が早期に終了する高齢者から旅行やレジャー、海外旅行へ出かけるだろう。その時期は秋口ぐらいからと考え、それまでに関連銘柄を拾っておくことも悪くないだろう。




筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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