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日本はインフレになる。6月第1週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し

6月第1週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し


2021年6月6日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大



主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1940.13 高値1966.09 安値1912.61 終値1959.19 (+11.75)

予想PER17.74 予想PRB1.33  予想EPS 110.43

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値29,019.45 高値29,157.16 安値28,565.83 終値28,941.52 (▲207.89)

NT倍率14.77




インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き


インバウンド銘柄の主な材料は:

・JALが6月に社債100億円の発行を検討と報道。期間は5年で金利は0.6%前後になる見通し。資金使途は未定としているが、運転資金や投資、有利子負債の借り換えなどへの活用を検討しているもよう。社債を公募で発行できれば、危惧されていた信用力について投資家から一定の評価が得られたといえる。


・また、JALは国際線の増便を発表。7月より成田-シアトル線を週1便増便し週4便に、9月から成田-ロサンゼルス線、成田-マニラ線を週3便増便し、マニラ-ロサンゼルス間で毎日接続可能になる。一方でANAは、7月にサンフランシスコ、シカゴ、フランクフルト発大阪行の臨時便の運航を発表

した。各航空会社において、ワクチン接種の進展に伴う需要の回復を見越した対応が始まっている。

・ANAは4月の運輸実績を発表。国際線の利用率は16.9%、国内線は44.6%となった。新型コロナ影響前の前々年比では国際線が4.5%、国内線が34.6%と厳しい状況が続いている。


・Jフロントは月次売上を公表。大丸松坂屋5月の百貨店売上高は前年比78.6%増となった。前年同時期においても臨時休業や時短営業を実施していたが、生活必需品売場での営業やオンライン販売を強化したことが増加の要因となった。しかし、コロナ前の前々年比では51.4%減と4月の同33.5%減からマイナス幅が拡がっており、緊急事態宣言の再発出による影響がでた形となった。



国内旅行関連銘柄の主な材料は:

・HISの4月旅行取扱高は前々年同月比95%減の21億円となった。内訳は海外旅行が99%減の3億円、国内旅行が65%減の18億円。3 ⽉の緊急事態宣⾔の解除に伴い、⼀時は予約数が増加したものの、下旬にかけてはコロナウィルス感染拡大により、緊急事態宣言再発出されたこと等から、旅行のキャンセルが増加した。


・藤田観光は全国のワシントンホテル等17施設で、「平日まるっとステイ部屋使い放題プラン」を発表。チェックインは月曜日のAM8時から、チェックアウトは金曜日のPM8時までで、料金は4泊5日で11,600円からと格安のサービスを開始する。



インバウンド・旅行関連銘柄の株価週間パフォーマンス




6月1週目の株式相場のまとめ


 重要指標の発表をこなしながら、アメリカ株は最高値圏でもみ合いが続く展開となった。ワクチン接種が進み、経済正常化に向かっているアメリカの景気回復期待による、インフレ圧力懸念からの金融引き締めを意識した動きであった。それを横目に日経平均株価は月初アノマリーに反して下落して始まり、終始先物主導で29000円の心理的節目を意識しながら、アフターコロナ株に買い需要が集まった。また、トヨタ自動車が連日最高値を更新し、1万円台目前まで値を上げてきた。


 そのような中、インバウンド・旅行関連株は好調な展開となった。決算発表で悪材料が出尽くしたワシントンホテルや、ワクチン接種後の人の移動回復を見据えてビジョンや鉄道株などの買いが集まった。一方、先週まで好調であった、エアトリ、アドベンチャーなどがTOPIXをアンダーパフォームした。




インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き

以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。



 緊急事態宣言の延長が正式に決定されたものの、インバウンド関連銘柄は大幅に続伸。特に、大丸松坂屋を運営するJフロントリテイリングの上昇や、寿スピリッツの株価の上昇が目立った。また出遅れていたオリエンタルランドの株価が上昇し始めてきた。



以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。



 国内旅行関連を牽引したエアトリやオープンドアが一服。一方で、HIS,KNT-CTが大幅続伸。また、出遅れていた鉄道株のJR東海が大幅に上昇した。今週もアフターコロナの業績回復を意識した先回り買い需要が旺盛な一週間であった。



6月2日週目の株の材料と動き

7日

景気先行指数(日)


8日

GDP2次速報(日)

国際収支(日)

ユーロ圏ZEW景況指数(欧)


9日

10日

ECB政策金利発表(欧)

新規失業保険申請件数(米)

消費者物価指数(米)


11日

メジャーSQ



筆者の個人的見解 


 注目されていた雇用統計が市場予想より弱く、2か月連続で市場予想を下回った事が安心感となり、テーパリングを警戒していた投資家心理が改善され、ダウ、S&P500種は最高値目前まで上昇した。今後は、弱い雇用回復を理由にFRBは金融緩和を力強く続けて行く可能性が高まる中、バイデン大統領も6兆ドル規模の予算を組成する予定で動きだしており、今後も株高が継続する可能性が高くなった。金融緩和相場ではバリュエーションの水準論は不要だと考える。


 日本株も3万円の大台から遠のいているが、再び緩和資金が海外から流れてくる可能性がある。また、足元の商品高と円安によるインフレ圧力が年末ぐらいにかけて表面化する可能性があり、アフターコロナ株が一服したら、インフレ銘柄に物色が入る可能性が高まろう。


 筆者は米国のテーパリングを意識していたが、雇用の回復がそこまで強い訳ではなく、FRBは引き続きインフレ上昇は一時的と捉えている姿勢を崩していない。なので、年後半はインフレを容認しながら金融緩和継続スタンス、加えて米国の超大規模の予算による、通貨安、資産高相場がさらに加速すると考える。それは経済成長、インフレ、金余りが引き起こす空前のバブルが起きるのではないかと考える。そこにはバリュエーションなどの証券投資論など何も役に立たないだろう。





筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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