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東京オリンピック中止報道で旅行関連株はどうなったか!?1月第4週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し
1月第4週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し
2021年1月24日
執筆:インバウンドアナリスト
宮本 大
主要指数(週)
TOPIX(先週差)
始値1844.09 高値1869.81 安値1839.68 終値1856.64(+0.03)
予想PER28.87 予想PRB1.20 予想EPS 64.31
※モーニングスターより
日経平均株価指数(先週差)
始値28,238.68 高値28,846.15 安値28,111.54 終値28,631.45(+112.27)
NT倍率15.42

インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き
インバウンド銘柄の主な材料は:
・JALとANAは21年度の国内線事業計画を発表。
・JALは需要に合わせた減便や機材を変更する方針を継続。また、収益が見込める路線の開設や増便も進め、国際線に比べ回復が早い国内線を強化する。
・ANAは機材を小型化して運航費用を抑制する。国内線で大型機を使う割合を前年度計画比で5割減らす一方、小型機は3割増やす。
・資生堂はTSUBAKIなどの日用品事業を1,500億円超で売却検討との報道。今後も事業ポートフォリオの見直しを進め、デパート等で販売する収益性の高い高価格帯ブランドや、デジタル技術を活用した非対面販売に経営資源をシフトする方針。
国内旅行関連銘柄の主な材料は:
・JR東海は1月19日までの東海道新幹線の利用者数を発表。前年同期比73%減となった。新型コロナウィルス感染拡大により61%減だった12月から減少幅が拡大している。
・英紙タイムズが、東京五輪を巡り、新型コロナウイルスの影響で「⽇本政府が中⽌せざるを得ないと内々に結論付けた」と報道。これに対して⽇本政府やIOCは報道を⼀⻫に否定した。報道を受け、HISなどの旅行関連株は軟調に推移した。
旅行関連株の週間パフォーマンス

1月4週目の株のまとめ
今週のバイデン新大統領就任式、イエレン新財務長官の公聴会、パウエルFRB議長の講演などのイベントを消化しつつ、株は利益確定の売りに押されながらも、強い押し目買い需要もあり、日経平均株価は先週末終値より112.27円高く、28,631.45円で今週の取引を終えた。
インバウンド株、旅行関連株は海外メディアのオリンピック報道で上昇モメンタムに一服感が出た。ただ、同業種内で同じ株価の動きではなく、各銘柄の個別材料や緊急事態宣言後の動向を見据えた動きとなった。ジャスダック上場のユーラシア旅行社はストップ安まで売られる日もあり、株価は大きく下落した週であった。個別材料は出ていないが、昨年株価は大きく上昇しており、先週からじりじり株価は下げ続けていたのもあり、利益確定売りや損切などの売りが売りを呼ぶ展開が続き、株価は8日連続の下落となった。
インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き
以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。

海外メディアのオリンピック報道で影響を受けたのはJALとANA空運株。まだ、底打ち反転とは判断しがたい。資生堂はTSUBAKIなどのブランドがある日用品部門を売却するという報道を受けて株価は急騰も、引き続き厳しい事業環境には変わりがない。緊急事態宣言発令下、Jフロントと寿スピリッツを除くインバウンドモニタリング銘柄はTOPIXアンダーパフォーム。
以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。

トラベルコを運営するオープンドアやオンライン航空券などを販売するエアトリなどが引き続き大きく上昇。逆に店舗型で固定費が多きHISやKNTCT株は売られる週となった。緊急事態宣言解除後やGoToトラベル再開後の業績回復期待が株価の動向に表れていよう。
1月5週目の株の材料と動き
25日
26日
消費者信頼感指数(米)
27日
景気先行指数(日)
耐久財受注(米)
FRB政策金利(米)
28日
百貨店・スーパー販売額(日)
米4QGDP(米)
新規失業保険申請件数(米)
新築住宅着工件数(米)
景気先行指数(米)
29日
失業率(日)
鉱工業生産(日)
シカゴPMI(米)
来週から日本企業の3Q決算発表が本格化。27日にFOMCとパウエル議長の会見、28日は米国4QGDP速報が発表される予定。
筆者の個人的見解
先週から引き続き強い地合いが続く展開。やっと株価が下がる日も出てきたが、強い押し目買い需要が待ち構えている。バイデン新大統領就任やアメリカの追加財政政策の概要がわかり、大きなイベントや材料を消化し、今後は踊り場に入ったと思われる。ここからもう一段高を伺う展開が続くと考えてもいいが、押し目買いが入らなくなったときは注意が必要と考える。また、今週から日本企業の決算発表が本格化。3Qが思いのほか業績が強い企業の上方修正や増配などあるか注目である。そうなれば、来期予想EPSも切りあがり、バリュエーションの割高感が修正されよう。日経平均株価を牽引していた値嵩株の上昇一服感はあるが、TOPIXはじり高であり、NT倍率の縮小が起こると考えられる。
ただ、思わぬ急落にも注視が必要だ。先週は海外メディアのオリンピック報道などに株価が敏感に反応した。株式相場はまだ完全な形でオリンピック開催を織り込んでいる。オリンピック中止や無観客での開催での経済損失は巨額である。また、業績回復期待が先行しすぎており、緊急事態宣言の延長や、コロナの変異株の市中蔓延などのリスクに注視が必要である。
筆者紹介
・立命館大学卒
・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社
・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当
・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)
・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事
会社紹介
Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。
また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。