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2020年一番リターンが大きかった旅行関連銘柄は!?12月第5週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し

12月第5週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し



2020年12月31日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大



主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1781.99  高値1819.46 安値1779.36 終値1804.68(+26.27)

予想PER28.31 予想PRB1.17 予想EPS 63.74

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値26,691.29 高値27,602.52 安値26,664.60 終値27,444.17 (+787.56) NT倍率15.20



旅行関連株の週間パフォーマンス




12月5週目の株のまとめ


  トランプ大統領が追加経済対策法案に署名したことを好感し、週初から日経平均株価は上昇。新型コロナウィルス感染者拡大懸念があったものの掉尾の一振もあり、日経平均株価は30年ぶりの高値を更新して2020年の取引を終えた。


 旅行関連株は先週末に第三者割当増資を発表したベルトラが上昇。底抜け感が出てきたロイヤルホテルも引き続き上昇。半面、HISやKNTCTなどの旅行代理店株は低調に推移した。



1月2週目の株の材料と動き

4日

大発会(日)

ユーロ圏製造業PMI(欧)


5日

ISM製造業景気指数(米)


6日

APD雇用統計(米)


7日

耐久財受注(米)

新規失業保険申請件数(米)

ISM非製造業景気指数(米)


8日

景気先行指数(日)

ユーロ圏失業率(欧)

雇用統計(米)

 1月4日は大発会。米国では月初の重要指標発表が続く。日本では小売りなどの2-8決算銘柄の決算発表が本格化。





インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き


以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。



 2020年1年間のインバウンド関連株価の推移を見てみると、TOPIXは前年を上回った。それを大きく上回ったのはオリエンタルランドと富士急行だ。この2銘柄はレジャーを代表するインバウンド銘柄であり、インバウンドが消滅してもTOPIXをアウトパフォームし、株価は大きく回復した。この2銘柄の株価が強い理由としては、①業績回復期待を織り込んでいる②コロナが収束したら一番に回復する業態だからだろう。


 この①と②の逆を考えると、Jフロント(百貨店)と力の源(一風堂)などの銘柄が当てはまる。株価はコロナショックで大きく株価を下げ、そのあと低迷が続いた銘柄だ。百貨店業界は国内消費の低迷でここしばらくの成長ドライバーはインバウンド消費であった。しかし、そのインバウンド消費がなくなり、また外出自粛やリモートワークなどのあおりを受け、都市部の一等地ビジネスが成り立たなくなっている。また将来の業績回復期待も薄いので、インバウンドが大幅に戻るシナリオや、会社が事業の成長力を示せることができない限り、市場からは評価されないだろう。



以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。



 国内旅行関連株式の1年間のパフォーマンスを見てみると、どのモニタリング銘柄もTOPIXをアウトパフォームすることが出来なかった。マイクロツーリズムを早くから導入、テレビで宣伝をしていた星野リゾートがGo Toトラベルの恩恵を受けながらなんとか株価リターンが小幅マイナスにとどまった。また、比較サイトのトラベルコを運営するオープンドアなどの固定費が小さいサイトもパフォーマンスもかろうじてマイナスであった。


 星野リゾートの株価とは対照的に、藤田観光株はモニタリング銘柄の中でも最もワーストパフォーマーだった。理由としては、ホテル以外の事業のレストランやウェディングなどの事業がコロナ渦で大きなダメージを受けたことや、ホテルでの宴会やウェディングの需要が蒸発してしまい、それが将来大きく回復するシナリオが示さないので、市場から評価はされなかったと考えられる。また、Go To恩恵を受けづらいという中価格帯のホテルを運営しているというのも考えられ、それが今後大きく回復するとは市場は期待していない表れだろう。


 また、HISやKNTCTなどの旅行代理店も厳しい株価推移となった。Go Toトラベルでかろうじて事業を続けることが出来たが、店舗や人件費などのコストが多く、今後の成長戦略を示させてないので、市場の目は厳しかった。HISはオンラインツアーや蕎麦屋などの新たな事業の立ち上げスピードは速いが、市場から全く評価されていないのがこの株価の推移の結果だと考えられる。



 2020年インバウンド・旅行関連株の1年間のリターンを以下の図通り。参考までに。



 先ほど述べたようにTOPIXをアウトパフォームしたのは、オリエンタルランドや富士急行などのレジャー関連銘柄。また、モニタリング銘柄対象ではないが、化粧品のコーセもTOPIXをアウトパフォーム。ユーラシア旅行社も株価は大きく上昇。考えられる理由としては①将来の業績回復期待の早さ②小規模旅行代理店のTOBされることやMBOなどの思惑期待だと考えている。




筆者の個人的見解 

 2020年はまさに財政政策と金融政策によって実態のない株価上昇の1年だったと言えよう。また、コロナというパンデミックにより大きく世界が変わった。そのような中で、環境に適応し、スピード感をもって変化した企業の株価は評価された1年でもあった。


 来年はどうゆう相場になるかは誰もわからないが、アノマリーでは“丑年は躓く”のである。ただ注意しなければならいのは、“政策に売りなし”である。未曾有の財政出動と金融政策が相場を大きく支えていることを忘れてはならない。ただ、言えることは”Cash is King & Queen”という言葉を一瞬忘れて、長期でデフレ対策のための資産運用を考える必要があるだろう。今の世界は現金に価値がないのである。


 インバウンド・旅行関連株は来年どうなるのだろうかと考えると、引き続き厳しい1年が続くとだろう。先に述べたように、変化に対応できない企業は生き残れないうえ、株式市場からは評価されないのである。そもそも、日本の国内旅行は成長市場ではないので、このコロナをきっかけに統廃合が進むであろう。それはGo Toトラベル事業が終わったら鮮明に表れてくると考えるので、個別株の動向に注意が必要である。




筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。


 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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