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インバウンド・旅行株の株価は底打ちか!?1月第3週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し

1月第3週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し



2021年1月17日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大


主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1847.98  高値1885.93 安値1841.91 終値1856.61(+1.67)

予想PER28.88 予想PRB1.20 予想EPS 64.28

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値28,004.37 高値28,979.53 安値27,899.45 終値28,519.18(+380.15) NT倍率15.36


インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き


インバウンド銘柄の主な材料は:


・政府は1都3県に加え、7府県に対し緊急事態宣言を発令。発令を受け、JALとANAは1月の国内線の追加減便と2月の減便を発表。2月の運航率はJALが52%、ANAが55%となる見込み。


・寿スピリッツの10~12月期の売上(概算)は、前年同期比▲36.7%となり、前四半期(7~9月)の同▲55.9%からは改善。移動自粛及び帰省自粛の影響により依然として土産需要は低迷している。


・J・フロントは12月の百貨店売上高を発表。大丸・松坂屋などの百貨店事業が前年同月比23%減、パルコ事業が同11%減、合計20%減となった。また、百貨店の1月(14日まで)売上は40%減。緊急事態宣言の発出による外出自粛の影響を受け、来客数は大幅に減少している。


・マツモトキヨシの12月月次売上は既存店が前年同月比6.7%減、全店が同4.4%減となり、減少幅が前月から拡大した。都心店舗の客数の鈍化が要因となっている。

国内旅行関連銘柄の主な材料は:


・HISの11月旅行取扱高合計は前年比83%減の60億となった。内訳は海外旅行が99%減の3億円、国内旅行が28%増の56億円。国内旅⾏では、GoTo トラベルの利⽤が増加したことに加え、沖縄・九州を中⼼に予約が好調に推移。特にオンラインによる取扱が増加した。一方で月後半には札幌市・⼤阪市等で GoTo トラベルの⼀時停⽌や⾃粛要請の影響を受けた。


旅行関連株の週間パフォーマンス


1月3週目の株のまとめ


  3連休明けの株式市場はバイデン氏の追加財政出動の報道などで底堅く、また半導体関連銘柄や値がさ株中心に日経平均株価は大きく上昇。一時レーザーテックなどの半導体関連銘柄の急落があり、日経平均株価は一時的に上げ幅を大きく縮めたものの、これから本格化する企業決算の業績上昇修正期待や、外国人投資家の強い現物買いの需要により、日経平均株価は28,519.18円で週末の取引を終えた。


 インバウンド銘柄・旅行関連銘柄は緊急事態宣言発令下、大半の銘柄がTOPIXをアウトパフォームした。特に業績回復期待が強い銘柄や今まで大きく売り込まれた銘柄が底打ち反転し、大きく上昇する展開となった。



インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き

以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。


  緊急事態宣言発令下、株価を大きく伸ばしたのは大丸松坂屋やパルコを運営するJフロントリテイリングだ。足元の厳しい経営環境は変わらないが、昨年株価は大きく売り込まれており、業績回復期待と株価底打ちで反転したと考える。また、寿スピリッツが3Qの売上状況を発表し、3Qの売上が2Qより大幅に回復したことを好感、今後の業績回復期待で株価は上昇した。

 

 逆に、緊急事態宣言発令下や在宅ワーク、外出自粛などの影響を受け、化粧品関連の資生堂株は軟調。また、昨年大幅に株価が上昇していた富士急行やオリエンタルランドなどの株価が軟調であった。



以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。


 国内旅行関連銘柄も緊急事態宣言発令下にもかかわらず、大きく値を上げた週となった。特に今まで大きく株価が下落していた銘柄が反発し、業績回復期待が先行した。ただ、星野リゾートやJR東海などの株の上昇は鈍く、旅行関連銘柄すべてが業績回復期待先行とは言い難いので、引き続き注視をしていきたい。



1月3週目の株の材料と動き

18日

鉱工業生産(日)

中国10-12月期GDP(中)

米国休場(米)


19日

ZEW景況指数(欧)


20日

日銀金融政策決定会合(日)

大統領就任式(米)


21日

日銀金融政策決定会合(日)

ECB定例理事会(欧)

住宅着工件数(米)

新規失業保険申請件数(米)


22日

消費者物価指数(日)

ユーロ圏製造業PMI(欧)

ユーロ圏非製造業PMI(欧)

 月曜日米国市場は休場。中国のGDPや日銀金融政策決定会合、ECB理事会などの重要指標があり、20日にはバイデン新大統領就任式が執り行われる。



銘柄考察

今回は証券コード9603エイチ・アイ・エスを簡単に見てみたい。まず、以下は株価の推移だ。

 

 エイチ・アイ・エス(以下HIS)の株価は昨年大きく値を下げ、低位で推移している。しかし先週にモルガンスタンレー証券が新規レーティングを付与し、目標株価2600円、オーバーウェイトとし、株価は底打ちしたかと思われる。では、今後HISの業績が大きく回復するかどうかを簡単に考えてみたい。


  HISの売上構成はコロナ前の2019年決算期を見ると、旅行業が89%、テーマパーク事業3.4%、ホテル業2.7%、九州産交グループ2.5%、エネルギー2.5%、その他1%という構成である。セグメント別営業利益だと、ホテル事業以外は黒字であった。主力は旅行事業で営業利益の78%を稼いでいる。その旅行業のうち、62.5%が海外旅行、25%が海外法人、8.5%が国内旅行、3.9%が訪日旅行という構成だ。これを見る限り明らかにHISは海外旅行と海外法人が稼ぎ頭だという事がわかる。


 しかし、2020年期決算4Q単体を見ると、主力の海外旅行と海外法人の売上が大幅に減少し、国内旅行取扱だけで売上高を確保している状況に一変。またテーマパーク事業も赤字に転落、ホテル事業は赤字幅が拡大し、収益構造が大きく変わってしまった。


 2021年期の通期の業績予想は開示してないが、1Q単体の予想は売上360億円、営業利益が▲100億円との予想で、業績は底を打ち、改善するという見通しである。また、1Q初月の11月単月の国内旅行取扱額も前年比+28.3%とGoToキャンペーンで好調な内容となった。


 しかし、12月からGo Toトラベル事業一時停止や、足元の緊急事態宣言発令により当初の計画未達の可能性が出てきており、会社が予定している業績回復のシナリオの変更が迫られよう。そのような中、会社は雇用維持を掲げており、新規事業の立ち上げも急ピッチで進む。ただ、手元流動性が大きく減少しており、保有している資産の売却などの対応が必要だと思われる。


 事業の成長性も厳しいと考える。店舗対面型サービスからインターネット型サービスに転換しても、すでに既存のライバル他社がおり、また、HISの国内旅行取扱高は2020年11月単月のマーケットシェアの2.9%、業界では8番目の規模であり、国内旅行取扱トップであるJTB(シェア33.3%)やKNT―CT(シェア11.7%)、日本旅行(シェア11.1%)を大きく下回る。そのような中、今後国内旅行取扱高のマーケットシェアを拡大していくのは相当厳しいだろう。そして、インバウンドを狙ったホテルやテーマパーク事業も大きな成長力が期待できず、会社は事業ポートフォリオの見直しに迫られよう。


 HISの業績回復には海外旅行の回復が必須であり、その回復度合いと時間との戦いである。会社は2021年4Qまでには2019年期の売上の85%まで回復するという見通しだ。これをどう捉えるか。2021年1Qの決算発表に注目が集まろう。



筆者の個人的見解 

 

 先週から引き続き株価は強い地合いが続き、連日高値を更新している。ただ、日経平均株価の値上がりとTOPIXの値上がりに乖離があり、NT倍率は拡大している。またマザーズ指数の週間リターンはマイナスであり、一旦ここで一服と考えていいだろう。

 

 マーケットは悪材料を全部無視でいいとこ取りの相場となっており、緩和的な金融政策と財政出動で市場にお金が流れ込む状況は続く。それを警戒してか、マーケット関係者はバブルと懸念する声が大きく、ここからどう株価が推移していくかを再度考える必要があろう。

 

 個人的には前から言っている通り、TOPIXのPERは高すぎであり、割高である。日本は以前から財政出動と金融政策を行っており、それでもTOPIXのPERは13-15倍で推移していた。それが、今足元の日経平均株価の上昇は外国人投資家の買いに支えられており、業績回復期待を大きく織り込み、TOPIXのPERは28倍程度推移している。今後、このPER水準が適正になるのか、それとも以前の水準に収斂していくのか。それはすべてアメリカ次第である。

 

 バイデン氏が新大統領に就任してから、2兆ドル規模の財政出動は一旦織り込まれたと考えてよい。だた、2月に追加の景気対策でさらなる追加の財政出動を検討しており、引き続き市場に金が送りこまれる。それに伴い財政悪化による米国金利上昇の懸念があるが、FRBの緩和策、またイールドカーブコントロールやマイナス金利という政策手段を残しており、金利上昇リスクはインフレ以外考えられない。そうなれば株価が大きく下げたときは押し目買いのチャンスと考えてよいだろう。

 

 ただ、無視されている悪材料とリスクを軽視してはならない。新型コロナウイスルの変異株や日本の政治リスク、アメリカのバイデンリスク(富裕層増税・IT規制・大きな政府)など気を付けておく必要がある。あと、テスラ株、ビットコインの値動きや同行に注意を払いたい。この二つが今の緩和相場を代表する銘柄だからだ。



筆者紹介


・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介


Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。


 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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