News

  • Japan Localized

緊急事態宣言発令で旅行関連株への影響は!?1月第2週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し

1月第2週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し



2021年1月10日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大


主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1810.45  高値1854.94 安値1776.60 終値1854.94(+50.26)

予想PER29.03 予想PRB1.20 予想EPS 63.89

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値27,575.57 高値28,139.03 安値27,002.18 終値28,139.03(+694.86)

NT倍率15.16


インバウンド・旅行関連銘柄ニュース

インバウンド銘柄の主な材料は:


・Jフロントは、大丸松坂屋の12月既存店売上高が前年比19%減となったと発表。コロナウィルス感染再拡大により外出自粛の影響を受け、11月と比べ改善は小幅に留まる。パルコの12月の既存店取扱高は同23%減。


・年末年始の利用状況をJALとANAが発表。国内線の搭乗率はJALが44%、ANAが40%となった。感染拡大による移動抑制の影響を受け、前年比▲40pt程度低下した。


・1月7日、政府は1都3県を対象に緊急事態宣言を発令。発令を受け、JALとANAは1月の国内線の追加減便を発表。両社とも減便により1月の搭乗率は60%台までに低下。また、オリエンタルランドは東京ディズニーランド等の閉演時間を19時に繰り上げ、営業時間の短縮を発表した。


・力の源ホールディングスは12月の店舗売上高を発表。国内店舗売上は前年同月比▲40%となり、減少幅の拡大は11月以降継続している。



国内旅行関連銘柄の主な材料は:


・JR東海は、年末年始の東海道新幹線の利用状況が前年比▲68%となったと発表。また、緊急事態宣言の発令を受け、2月末まで新幹線の本数を1日平均345本から309本に減らすことを決定した。


・エアトリは、建設業界のDXを推進するTRUSTに出資。投資事業の一環での取り組みであり、キャピタルゲインが目的。


・KNT-CTホールディングスの12月の旅行取扱高は前年同月比▲52%。国内旅行では、Go Toの効果により少人数単位のツアーや宿泊商品などの売れ行きが好調だった。


・観光庁はGo To トラベル事業の停止期間を2月7日までの延長を発表した。


旅行関連株の週間パフォーマンス



1月2週目の株のまとめ


 大発会から新型コロナウィルス感染者の増大懸念や緊急事態宣言の発令の警戒もあり、日経平均株価は27,002円まで売られる場面もあったが、米国上院議員選挙で民主党の勝利が報じられ、トリプルブルー下での追加財政出動期待で米国株は大きく上昇。日経平均株価も30年ぶりの高値を更新し、金曜日は高値引けとなった。


 インバウンド銘柄・旅行関連銘柄は政府の緊急事態宣言発令及び、Go Toトラベル事業一時停止延長の処置を受けて、JALやANAなどの航空関連株や富士急行、オリエンタルランドなどのレジャー関連株が大きく売られた。



インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き

以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。

年が明け、2021年初週のインバウンド関連銘柄のパフォーマンスは上記の図の通り。緊急事態宣言発令で軟調なスタートとなり、どの銘柄もTOPIXをアウトパフォームすることが出来なかった。レジャーや鉄道事業を行っている富士急行は大きく下落。また外出自粛に伴い化粧品需要の低下懸念がある資生堂株も下落した。


以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。


 旅行関連銘柄も緊急事態宣言の発令を受けて、どの銘柄もTOPIXをアウトパフォームすることが出来なかった。比較的固定費が少ない、エアトリやオープンドアがプラス推移。また、HISはモルガンスタンレー証券が目標株価2600円、オーバーウェイトと新規レーティングを付与して、株価は大きく反発した。藤田観光は上場来安値を更新した。




1月3週目の株の材料と動き


11日

成人の日-休場(日)


12日

国際収支(日)

景気ウォッチャー調査(日)


13日

鉱工業生産(欧)

消費者物価指数(米)


14日

機械受注(日)

新規失業保険申請件数(米)


15日

小売売上高(米)

NY連銀製造業景気指数(米)

鉱工業生産指数(米)

 月曜日成人の日で日本市場は休場。景気ウォッチャーや国際収支などの国内の重要指標の発表や米国では小売売上高や機械受注、消費者物価指数などの指標発表が控えている。日本では小売り企業の3Q決算発表、米国の本決算発表も本格化。





銘柄考察

今回は椿山荘やワシントンホテルなどを事業展開している証券コード9722藤田観光を簡単に見てみたい。まず、以下の株価の推移だ。

 藤田観光の株価は上場来安値を更新し、2019年末の株価から半分以下で推移している。ではなぜ藤田観光の株はこのように下がり続けているのだろうか?


 まず、コロナ前の藤田観光の2019年12月期の売上高は689.6億円、営業利益は2.8億円の黒字であった。セグメント別でみていくと、WHG(ワシントンホテル)事業の売上高は376.3億円、リゾート事業は55.3億円、ラグジュアリー&バンケット事業(椿山荘含む)は229.4億円である。その他及び調整額は28.3億円。


 営業利益はWHG事業19.6億円、リゾート事業▲6.9億円、ラグジュアリー&バンケット事業は▲0.4億円、その他及び調整額は▲9.5と、WHG事業以外は営業赤字である。つまり、藤田観光はWHG事業が売上高の54%を稼ぎ、また他の事業の営業赤字をカバーする形の収益構造である。2018年12月期決算もほぼ同様な内容である。


 では、2020年12月期3Qの決算内容を見てみると、売上高は176.9億円と2019年12月期3Qと比べて、▲323.3億円と前年比35%程度の売上しか出ていない。また主力であるWHGの売上高は76.5億円と前年と比べて▲202.2億円と、前年の27%程度の売上しかない。WHG営業利益は▲104.6億円と、前年の14億円を大きく下回る赤字を計上している。また2020年12月期の業績予想も開示がなく、2020年内に発表される予定であった中期経営計画の発表もない。


 2020年12月期4Q単体の決算内容を見てみないとGo Toトラベル事業での業績回復度合いは図れないが、主力であるWHG事業や他のセグメントの構造改革の内容や中期経営計画の事業計画がわからなければ、藤田観光の株価の底打ちが見えないだろうと考える。また、コロナ前でも厳しい業績であった、リゾート事業やラグジュアリー&バンケット事業などの抜本的な構造改革及び事業計画がない限り、株式市場は藤田観光を評価しないであろう。



筆者の個人的見解 


 2021年相場も始まり、マーケットは金余りと財政出動期待を背景に総楽観ムードとなっている。足元のコロナ新規感染者数の爆発的な増加や、米国の議会が占拠されるなどの事態も全く材料視されていない。また日本でも緊急事態宣言が発令されたにも関わらず、日経平均株価は30年来の高値を更新している。以下の図を見てほしい。昨年の緊急事態宣言期間中での旅行関連銘柄のパフォーマンスである。



 化粧品関連株以外は大幅にプラスリターンとなっている。この図を見ると、緊急事態宣言で株は買いなのである。今回の緊急事態宣言も旅行関連銘柄はプラスで推移する可能性は高い。


 ではリスクは何か?個人的に警戒しているのは、①米国のインフレリスク、②日本の政治リスクである。①のリスクはFRBが緩和スタンスを維持しているので、大きな懸念は今のところないが、世界の食料価格が上昇していることに注視しておく必要があろう。②のリスクは足元菅政権の支持率が下がってきており、外国人投資家が好む政治の安定が、不安定に変わる可能性がある。日本の株価上昇は外国人投資家に支えられており、Abe-Suga政権下の政治安定で日本株は買いなのである。もし、菅内閣が退陣に追い込まれた場合の株式相場の動きを考えておく必要がある。安倍政権が長すぎたので、政治リスクが忘れ去られているように思われる。



筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事




会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



40 views