2月第3週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し
2021年2月21日
執筆:インバウンドアナリスト
宮本 大
主要指数(週)
TOPIX(先週差)
始値1945.77 高値1974.99 安値1921.88 終値1928.95 (-4.93)
予想PER24.83 予想PRB1.29 予想EPS 77.68
※モーニングスターより
日経平均株価指数(先週差)
始値29,662.41 高値30,714.52 安値29,662.41 終値30,017.92 (+497.85) NT倍率15.56
インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き
インバウンド銘柄の主な材料は:
・Jフロントは1月の月次売上を発表。百貨店事業は前年比40.1%減、パルコ事業17.3%減。外出自粛の影響で、前月比でマイナス幅が拡大した。また、2月14日までの売上速報値は前年比14%減。客数が大幅に減少するも、高額品が好調に売れていることや前年同時期にコロナウィルスの影響がすでに出ていたことから、マイナス幅は減少傾向にある。
・マツモトキヨシは21年3月期3Q決算を発表。売上は前年同期比5.6%減の4,213億円、営業利益は同11%減の238億円、純利益は同12%減の166億円と減収減益。郊外型店舗は特需により売上利益貢献するも、インバウンドの減少、外出自粛、在宅勤務等により都市型店舗が苦戦した。2Q以降業績は回復傾向で、その傾向は3Qも継続している。
・また、同社は1月の月次売上を公表 。既存店は前年同月比11.6%減、全店同9.3%減と減少幅が前月より拡大した。緊急事態宣言の再発出により、繁華街や都心店舗を中心に客数が減少している。
・JALは国内線の3月の追加減便を発表。3月の減便数は計13,059便にのぼり、運航率は48%となる。また、国際線の5月までの運航スケジュールを決定。羽田-ホノルル線と、成田-マニラ線を4月から増便する。国際線全体の3-5月の運航率は24%となる。
・ANAはDHLと共同でファイザー製ワクチンについて、欧州ベルギーから日本までの国際区間の輸送を開始した。ANAはこれまで、医薬品の国際輸送を担い、温度管理のノウハウを蓄積してきた。2017年に日本の航空会社で初めて国際航空運送協会(IATA)が策定した医薬品輸送の国際品質認証「CEIVファーマ認証」を取得している。
国内旅行関連銘柄の主な材料は:
・HISはIT新興企業との連携や企業への投資プロジェクトを始動すると発表。農業、飲食業、人材派遣業など新たな事業領域へ挑戦し、事業の多角化を進める。
・日本空港ビルディングは公募増資や自己株の処分で最大614億円を調達することを発表。これにより、昨年12月末に27.6%まで低下していた自己資本比率が30%台まで回復する見込み。
インバウンド・旅行関連銘柄の株価週間パフォーマンス
2月3週目の株のまとめ
米国の追加財政出動期待と世界的な金融緩和政策の支えがありながら、日本国内でワクチン接種が始まり、市場はリスクオン。日経平均株価も3万円台を回復し、利益確定売りをこなしながら、3万円台で取引を終えた。
インバウンド・旅行関連株はワクチン接種が始まり、経済正常化に向けての業績回復期待が加速。幅広い業種で買いが入った。ただ、金曜日には利益確定の売りが入り、押し目を誘う形で週末の取引を終えた。
インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き
以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。
インバウンドモニタリング銘柄は引き続き緊急事態宣言発令延長もあり、引き続き年末からTOPIXをアウトパフォームする銘柄が多い。そのような中、マツモトキヨシは3Q決算が嫌気され、株価は下落した週となった。
以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。
緊急事態宣言延長に日本国内でワクチン接種が開始され、週初から国内旅行関連株は先週から引き続き大きく上昇。特に悪材料が出尽くしたKNTCTの株価は出遅れ気味であったが、大きく上昇した。
2月4週目の株の材料と動き
22日
Ifo企業景況感指数(独)
23日
日本休場(日)
24日
消費者信頼感(米)
新築住宅販売件数(米)
25日
GDP改定値(米)
耐久財受注(米)
新規失業保険申請件数(米)
26日
鉱工業生産(日)
シカゴPMI(米)
23日は天皇誕生日で日本は休場。アメリカのGDP改定値や耐久財受注などの経済発表を控える。
筆者の個人的見解
今週は週末に合意に至るであろうと思われている米国の追加経済対策期待で株式相場全体は強い地合いが続くと考えられる。米国の経済対策が合意に至れば、即時給付金が入金され、それがまた市場に流れる。足元、外国人が積極的に日本株を買いに来ており、日本の株式相場を大きく支えている。また、日経平均株価指数に採用されているファストリテイリングなどの値がさ株も先物主導で上昇し、NT倍率は最高値にありながらも、徐々にTOPIXも上昇しており、NT倍率は切り下がるだろう。
日経平均株価も週末は3万円台で取引を終え、引き続き押し目買い需要が強い。今週もその流れが続くと考えられる。加えて市場に大量の資金が供給されるので、まだ出遅れている日本株への買いが入ると考えられよう。株価上昇のチキンレースは続くだろう。
考えられるリスクとしては、インフレ懸念と米国債券金利上昇だろう。また国内での菅政権の支持率やオリンピック開催の有無の動向も気がかりだ。あと、米国SECや議会がロビンフッドや掲示板のレデイットへの規制強化に引き続き注視をしたい。アメリカでの個人投資家の動向は無視できないほど大きくなりすぎている。
筆者紹介
・立命館大学卒
・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社
・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当
・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)
・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事
会社紹介
Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。
また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。
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