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インバウンド・旅行関連株はまだ買い継続か!?2月第2週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し

Updated: Feb 14, 2021

2月第2週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し


2021年2月14日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大



主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1898.37  高値1937.74 安値1898.32 終値1933.88(+42.93)

予想PER25.99 予想PRB1.29 予想EPS 74.40

※モーニングスターより


日経平均株価指数(先週差)

始値28,831.58 高値29,650.51 安値28,817.60 終値29,520.07 (+740.88)

NT倍率15.26



インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き

インバウンド銘柄の主な材料は:

・資生堂は21年12月期末決算を発表。売上は前年同期比19%減の9,208億円、純損益は▲116億円の赤字となった。中国事業の売上は前期比9%増加したものの、国内ではインバウンド需要の激減、百貨店の営業制限等の影響を受け同30%減となった。


・22年12月期の業績予想は売上11,000億円、営業利益350億円、純利益115億円を見込む。年間配当は50円を予定(前期40円)。中国は高価格帯のスキンケア化粧品を中心に販売増を見込み、国内や欧米は下期から緩やかな回復を想定している。


・一風堂等を運営する力の源ホールディングスは21年3月期3Q決算を発表。売上は前年同期比46%減の120億円、営業損益▲9億円、純損益▲20億円の赤字となった。上期における店舗休業や時短営業の影響が大きかったが、3Qは売上回復や店舗運営効率化により損益は改善している。また、通期の業績予想を開示。売上162億円、営業損益▲10億円、純損益▲23億円を見込む。



国内旅行関連銘柄の主な材料は:

・KNT-CTホールディングスは21年3月期3Qの決算を発表。売上は前年同期比▲65%減の612億円、純損益は▲216億円。国内外旅行需要の激減で、大幅な赤字に転落した。20年12月末時点で34億円の債務超過に陥り、自己資本比率は▲3.9%となった。現預金残高500億円、コミットメントライン300億円を有しており、当面の資金繰り懸念はないが、財務の立て直しが急務である。


・また、今期業績予想を下方修正し、売上870億円、営業損益▲355億円、純損益▲200億円を見込む。11月以降の販売減に加え、早期退職に伴う特別損失60億円計上等が要因。


・エアトリは21年9月期1Q決算を発表。売上は前年同期比18%減の65億円、営業利益は同3.8倍の7.6億円と過去最高益となった。旅行事業はGotoトラベルが追い風となり、国内旅行を中心に 収益が大きく回復。そのほか、ヘッドウォータース社の上場による利益の実現やPCR検査の需要の取りこみ等、事業の多角化の成果が表れている。


・藤田観光は21年12月期末決算を発表。売上は前年同期比61%減の266億円、純損益は▲224億円の赤字となった。人件費削減等のコスト削減を進めたものの、主力のワシントン事業を中心にコロナ禍の影響を受け、損益が大幅に悪化した。12月末の自己資本比率は0.8%と大幅に低下しており、財務の立て直しが急がれる。


・また、同社は大阪市の老舗複合施設「太閤園」を3月末に売却すると発表。21年1~3月期に特別利益約329億円を計上することにより、債務超過回避を図る。



旅行関連株の週間パフォーマンス


2月2週目の株のまとめ


 日経平均株価は先週末の終値から740.88円高い29,520.07円で一週間の取引を終えた。一時29,650.51円の高値を付け、3万円目前まで上昇。日本企業の好決算やアメリカの追加景気対策期待、パウエルFRB議長の緩和的スタンスなどの好材料となった。


 インバウンド・旅行関連株は先週全面高の展開からややトーンダウンしつつも、出遅れであった、化粧品関連株が上昇し、引き続き強い買い需要が入ったが、業種内での銘柄の株価の動きにばらつきが出始めた。




インバウンド及び国内旅行関連モニタリング銘柄の動き 以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。


 インバウンドモニタリング銘柄は引き続き緊急事態宣言発令延長もあり、強い買い需要は継続。特に先週決算発表があった資生堂が悪材料出尽くしと出遅れ感から大きく上昇。また、JALも大きく上昇し、ANAとの財務退体質の差が株価の動きの違いとなった。




以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。


 緊急事態宣言延長に伴い、先週から引き続きトラベルコを運営するオープンドア、エアトリ、HISの上昇が目立った1週間であった。半面、決算内容が悪かったKNTCTの株価は反落。JR東海は悪材料出尽くしで売られる展開となった。



2月3週目の株の材料と動き

15日

GDP速報値(日)

鉱工業生産(日)

鉱工業生産(欧)

米国休場


16日

NY連銀製造業指数(米)


17日

機械受注(日)

小売売上高(米)

鉱工業生産(米)


18日

住宅着工件数(米)

新規失業保険申請件数(米)


19日

消費者物価指数(日)

ユーロ圏製造業PMI(欧)

ユーロ圏非製造業PMI(欧)

 月曜日は米国祝日で休場。日本企業の決算発表はピークアウト。日本のGDP速報値や米国小売売上高などの重要指標の発表が予定されている。




考察


 緊急事態宣言発令後、インバウンド・旅行関連株の上昇が大きく、株価上昇率はTOPIXを大幅にアンダーパフォームしている。(緊急事態宣言発令期間中のインバウンド・旅行株の動向については、こちらのレポートを参照)。業績が悪いのは一目瞭然であるが、その株価の動きを見て、インバウンド・旅行関連銘柄は大きくあく抜けしたか?と思ってしまうのも仕方がないと考える。果たして、インバウンド・旅行関連銘柄は本当に回復しているのか?少し見てみたい。

 

以下の図は2019年12月末からのインバウンド関連モニタリング銘柄の株価の指数化の推移である。



 このグラフを見ての通り、TOPIXをアウトパフォームしたのは、富士急行とオリエンタルランドのレジャー株のみ。2019年末株価水準を戻したのは、ドラッグストアのマツモトキヨシと化粧品の資生堂だけだ。それ以外の銘柄は2019年末の株価水準を大きく下回っている。特にJALとANAの空運、Jフロントなどの百貨店などの株価の戻りは鈍い。

以下は国内旅行関連株の2019年末からの株価の指数化の推移である。



 これも見ての通り、オープンドア以外のモニタリング銘柄はTOPIXをアンダーパフォームかつ2019年12月末までの株価水準すら戻っていない。星野リゾートREITはやっと2019年末の水準まで戻っただけで、旅行代理店やホテル、鉄道関連の株の戻りも鈍い。


 これらのモニタリング銘柄のグラフから見ての通り、インバウンド・旅行関連銘柄の株価はまだ2019年末の株価水準から比べるとまだ戻っていないのである。時間はかかると思うが、今後も業績回復期待で大きく上昇していく余地はあると筆者は考えるが、銘柄選びに慎重にならないといけないだろう。


筆者の個人的見解 


今週の日経平均株価は3万円台を伺う展開となろう。決算発表のピークが過ぎ、アメリカのFEDの緩和的スタンス継続やバイデン氏の財政出動期待もあり、株価は大きく下がらないと考える。下がったとしても、出遅れ組の買いなど、押し目買い需要が強く、買いが買いを呼ぶ地合いが続くと思われる。また、米国金利が落ち着いている中、再びグロース株への資金循環が起き、循環相場が続きながら、TOPIXなどの株価指数を押し上げよう。


 考えられるリスクとしては、米国SECや議会がロビンフッドや掲示板のレデイットへの規制強化だろう。アメリカでの個人投資家の動向は無視できないほど大きくなってきており、ここの動向に注視をしておきたい。また、日本では菅内閣の支持率が低下してきており、万が一退陣に追い込まれた場合は、外国人投資家が大きく売り仕掛けてくる可能性がる。アベノミクス以降、政治の安定が株価上昇の支えであったことは忘れてはならない。




筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。

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