最新インバウンド情報
■4月の出来事要約
2022年4月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、4月10日より水際対策が緩和され、入国者数上限が1日1万人へ引き上げられた。世界では観光目的での入国緩和の舵を切り、日本と中国、台湾のみが厳しい水際対策を行っている状況が続く。
■4月主なインバウンド関連ニュース
・日本政府観光局が発表した2022年3月の訪日外国人客数は3月単月で66,100人となった。前年同月比は+438.4%と大幅増となった。
・外務省は106カ国についてレベル3の「渡航中止勧告」からレベル2の「不要不急の渡航自粛」に引き下げた。それに伴い、2年ぶりにJTBなどがハワイ旅行の販売を再開。詳細はこちら。
・4月27日に開かれた経済財政諮問会議で民間議員が観光目的の入国も「段階的に再開すべきだ」と提言。詳細はこちら。
・「外国旅行が復活も、日本や中国など人気観光地で受け入れ再開せず」詳細はこちら。
・「日本の厳格な「観光鎖国」と海外水際対策の大差」詳細はこちら。
・日本百貨店協会が発表した2022年3月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比▲15.3%の47億円だった。
・観光庁が発表した2022年3月の宿泊旅行統計によると、2022年3月の外国人延べ宿泊者数は34万人泊、2019年同月比▲96.4%、前年同月比+28.0%であった。
■訪日外国人客数
以下のグラフは2017年-2022年までの訪日外国人客数である。
日本政府観光局が発表した2022年3月の訪日外国人客数は3月単月で66,100人となった。前年同月比は+438.4%と大幅増となった。
国別で見ていくと、アジアではベトナムから10,100人、続く中国9,800人と大幅増。次に韓国6,700人、インドネシア5,500人と全体を牽引。
欧米豪からも大幅増加。英国800人、フランス800人、ドイツ700人。米国からは3,200人だった。
これは観光を除く入国制限が緩和された影響が大きいと言える。
■免税店総売上高の推移
百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。
日本百貨店協会が発表した2022年3月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比▲15.3%の47億円だった。
以下は購買客数と購買単価の図である。
3月の購買客数は約0.9万人と微増。購買単価は49.5万円と先月から大幅減。
3月の訪日観光客数が大幅に増えたものの、免税店売上には変化がなかった。
■外国人延べ宿泊者数
以下の図は観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移である。
観光庁が発表した2022年3月の宿泊旅行統計によると、2022年3月の外国人延べ宿泊者数は34万人泊、2019年同月比▲96.4%、前年同月比+28.0%であった。
以下の図は2022年の都道府県別外国人延べ宿泊数のランキングである。
都道府県別の外国人延べ宿泊数。2022年2月まで累計。今回からグラフの見せ方を変えて、ボトムから並べることにした。外国人が宿泊しない県トップは高知県。続く徳島県、鳥取県。宿泊しない=消費額が少ないと言ってもいいぐらいなので、「宿泊したい」と思わせる仕掛けづくりが必要。
■インバウンド復活の予想
先月から引き続き、筆者は観光目的の入国は早くても参議院選挙後になると予想をしている。理由は先月同様以下の通りだ。
一、岸田政権の支持率維持のため、参議院選挙前までの観光目的の入国緩和に消極的
一、観光庁がインバンド復活のロードマップを示せてない(GoToトラベルの再開も示せてない)
一、日本政府と観光庁は未だに管理型ツアーを真剣に考えている
一、コロナを5分類に引き下げる見通しがない
詳細は先月のレポートを参照。
筆者はインバウンド復活時期と復活の仕方には非常の悲観的だ。悲観的と言うより、現実をよく見ている。まず、岸田内閣は合理的な根拠及び科学的なデータの基づく判断が出来ておらず、支持率に影響する水際対策の緩和に非常の消極的である。水際対策緩和の判断が国民感情に左右されるという事に置き換わってしまったのである。正直、感情というのは合理的な判断に基づかないので、ただ日本人の「ガイジン」に対する偏見が鋭く浮き上がってしまったのである。
また、コロナを第5分類へ引き下げる事に非常に消極的で、再び感染者数が増加したら同じことを繰り返す可能性がある。ちなみに中国、台湾、日本以外の国ではコロナはただの風邪になってしまった。日本の外を見ると、コロナの話題もなく、マスクもしていないのだ。
今の国家の危機は太平洋戦争と同じで、政府の決断力の無さとマスコミの偏向報道(日本が勝ち続けている報道)でたくさんの国民が命を落としたように、今の政府のコロナ対策の問題解決の先延ばしとマスコミの偏向報道で日本国民の生活が苦しめられている。日本政府はそもそもの問題を解決せず、無駄にコロナ対策を引き延ばしているだけなのだ。
国民は長引くコロナ対策のせいで、日本を取り巻く経済環境が非常に悪くなっているにも気づかず、マスコミの報道や同調圧力でマスクすら外せなくなってしまっているのである。残念ながら、日本は外圧か、壊滅的な打撃が無ければ何も変わらないのである。日本の歴史を見れば簡単にわかる事だ。
日本のインバウンド復活にはあと数年は要するだろう。
筆者紹介
・立命館大学卒
・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社
・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当
・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)
・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事
・まいまい京都・東京事務局
・会計事務所にて、資金調達・事業計画アドバイザー
・訪日ラボで「株式市場からインバウンド復活の動向を読み解く」を連載中
会社紹介
Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。
また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。
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