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日本のインバウンド復活がさらに遠のいた|2022年2月月次インバウンドレポート

最新インバウンド情報


■2月の出来事要約


2022年2月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、日本政府は外国やメディアからの厳しすぎる水際対策の批判をかわすために、急遽観光目的以外の新規外国人入国者受け入れを決定。3月1日より、日本人を含む入国者5000人を上限として、水際対策の緩和を実施する。


■2月主なインバウンド関連ニュース


・日本政府観光局が発表した2022年1月の訪日外国人客数は1月単月で17,800人となった。前年同月比は▲61.7%と大幅減少となった。


・日本への入国・帰国は指定国・地域滞在歴の有無と有効なワクチン接種証明書の有無(2回接種済み、またはブースター接種済み)によって場合分けされる。例えば、指定国・地域滞在歴なしでブースター接種済みの証明を提示し、入国時検査で陰性であれば、自主隔離は不要となる。詳細はこちら


・イギリスはコロナとの共生計画を発表。隔離義務を全撤廃。詳細はこちら


・ベトナムは3月15日から外国人観光客受入を再開。日本などへのビザ免除措置も再開予定。詳細はこちら


・日本百貨店協会が発表した2022年1月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比+12.5%の44.9億円だった。


・観光庁が発表した2021年1月の宿泊旅行統計によると、2021年の外国人延べ宿泊者数は421万人泊、2019年比▲96.4%、前年比▲79.3%であった。


■訪日外国人客数


以下のグラフは2017年-2021年までの訪日外国人客数である。

2017年-2021年までの訪日外国人客数

日本政府観光局が発表した2022年1月の訪日外国人客数は1月単月で17,800人となった。前年同月比は▲61.7%と前月から引き続き大幅減少なった。

国別で見ていくと、アジアでは中国1,500人、インド2,100人、韓国1,300人と全体を牽引。

欧米豪からは、英国500人、フランス700人、ドイツ300人。米国からは1,800人だった。



■免税店総売上高の推移

百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。

免税店総売上高の推移

日本百貨店協会が発表した2022年1月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比+12.5%の44.9億円だった。

売上上位商品群は化粧品、ハイエンドブランド、婦人服雑貨、食料品の順番。

免税手続きカウンターの来店国別順位は中国本土、台湾、韓国、シンガポール、タイ、香港、マレーシアの順番。


以下は購買客数と購買単価の図である。

購買客数と購買単価

1月の購買客数は約0.9万人。購買単価は47.9万円となった。



■外国人延べ宿泊者数

以下の図は観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移である。

宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移

観光庁が発表した2021年1月の宿泊旅行統計によると、2021年の外国人延べ宿泊者数は421万人泊、2019年比▲96.4%、前年比▲79.3%であった。


以下の図は2021年の都道府県別外国人延べ宿泊数のランキングである。

2021年の都道府県別外国人延べ宿泊数のランキング

2021年の集計。トップは東京都、千葉県、大阪府。以下神奈川県、沖縄県、福岡県が続く。下位は高知県、奈良県、佐賀県。


■インバウンド復活の予想


外国やメディアの圧力によって、日本政府は渋々水際対策の緩和に踏み切った。つまり、日本の鎖国は外圧によって解かれるのであって、日米和親条約、日米修好通商条約の順番で開港していったような事を、現代になっても繰り返しているのである。武家社会でも、民主主義でも日本人は同じことを繰り返しているのである。


しかし、外圧やメディアの批判の矛先は留学生と国際的なビジネス競争についてだけであり、観光目的に対する入国制限についてはメディアには全く触れられていない。つまり、留学生やビジネス目的での新規入国さえ認めていれば、メディアは1日の入国者数の上限5000人だけを批判するのであって、日本政府が観光目的の入国制限緩和の検討を先延ばしできる逃げ道を作ってしまったのである。そして、世論調査でも水際対策への評価はまだ高いので、日本政府は今年の参議院選挙までこの水際対策の緩急をうまく使う事が予想される。


筆者はもう、日本はコロナとの共生に切り替えていかなければ、インバウンドは戻らないと断言できる。それには新型コロナを第5類に引き下げなければ、いつまでたっても検査と隔離をやり続けなければならない。また、今回の留学生などの入国制限の緩和も、日本政府から詳細な内容が発表されるまで時間を要し、政府は今まで水際対策に関して何も検討をしていなかったことが露呈してしまったのである。つまり、今現在も、観光目的の入国緩和については何も考えていないと言ってもいいだろう。今の日本政府はコロナ対策に関して思考停止となっている。


また、ウクライナとロシアの戦争によって、日本のインバウンドに与える影響について少し述べておきたい。ロシアは経済制裁への対抗措置として、欧州の航空会社がロシア上空を飛行できないようにした。それに伴い欧州から極東へのルートが大回りになり、コスト増、運賃増につながることが予想される。それに原油高が加わる。そして、ロシアとの友好国である中国が欧州を弱体化させるための間接的な措置として、自国民の欧州団体旅行を停止する可能性がある。以前、ミサイル配置問題で中国は韓国への団体旅行を停止し、韓国のインバウンドが苦境に陥った事がある。その波及で日本のインバウンド業界に間接的に影響を及ぼす可能性もあることを考えておく必要がある。また、中国はゼロコロナ政策を継続しているので、まだ自国民の海外旅行を全面的に許可はしないだろう。


なので、日本国内のコロナ政策と日本外の地政学が加わり、日本のインバウンドの復活の見通しが全く立たなくなった。



筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事

・まいまい京都・東京事務局

・会計事務所にて、資金調達・事業計画アドバイザー

・訪日ラボで「株式市場からインバウンド復活の動向を読み解く」を連載中


会社紹介

Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。

また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。


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