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2022年はインバウンドを忘れる事から始めよ|2021年12月月次インバウンドレポート

最新インバウンド情報

■12月の出来事要約

2021年12月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、オミクロン変異株がある程度解明されるまで、当面の間水際対策が延長となった。岸田総理大臣は会見で年末年始の感染状況を見ながら再び判断すると述べた。


■12月主なインバウンド関連ニュース

・日本政府観光局が発表した2021年11月の訪日外国人客数は11月単月で20,700人となった。同年前月比は▲6.3%。前年同月比は▲63.5%となった。


・日経新聞社が実施した12月の世論調査で岸田内閣が実施した、外国人の新規入国を原則停止したことに対して、88%の人が「妥当だ」と評価した。詳細はこちら


・岸田総理の12月21日の記者会見で、「オミクロン株の感染力、重症化リスクなどに関する科学的な評価がいまだ確立してはおりません。このため、年末年始の状況を見極めつつ、当面の間、水際対策を延長することといたしました。」と述べた。詳細はこちら


・ベトナムは日本間の定期便を2022年1月1日から運航再開を予定。詳細はこちら


・ベトナムの観光総局の発表によると、11月から始まった観光客受入事業の開始から約1ヵ月で海外から3,500人が入国した。観光客はトラベルバブル方式で入国後の隔離が免除さるものの、移動可能なエリアが限定されている。詳細はこちら


・タイは12月21日よりオミクロン変異株への警戒により、入国時の隔離を免除する「TEST&GO」プログラムを一時停止。外国人観光客は7-10日間の隔離が必要となる。詳細はこちら


・政府与党は消費税免税者から外国人留学生を除外し、短期滞在者に限る方針を固めた。詳細はこちら


・日本百貨店協会が発表した2021年11月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比+24.7%の34.8億円となった。


・観光庁が発表した2021年11月の宿泊旅行統計によると、旅館、ホテル等の宿泊数は前年同月比▲4.1%の3,562万人泊。外国人は▲1.1%の30万人泊となった。


■2021年11月訪日外国人客数

以下のグラフは2017年-2021年までの訪日外国人客数である。

2017年-2021年までの訪日外国人客数

日本政府観光局が発表した2021年11月の訪日外国人客数は11月単月で20,700人となった。同年前月比は▲6.3%。前年同月比は▲63.5%となった。

国別で見ていくと、アジアでは中国3,200人、韓国2,000人と全体を牽引。ベトナムが1,800人、インド1,600人と続く。次にインドネシア700人、フィリピンから500人だった。

欧米豪からは、英国500人と先月から微増。フランスとドイツからは300人。米国からは1,400人だった。


■免税店総売上高の推移 

百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。

免税店売上高推移12.21

日本百貨店協会が発表した2021年11月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比+24.7%の34.8億円となった。

売上上位商品群は化粧品、ハイエンドブランド、食料品、婦人服雑貨、紳士服の順番。

免税手続きカウンターの来店国別順位は中国本土、台湾、韓国、香港、シンガポール、タイ、マレーシアの順番。


以下は購買客数と購買単価の図である。

免税店売上購買客数と購買単価の推移12.21

11月の購買客数は約0.7万人。購買単価は48.3万円となった。


■外国人延べ宿泊者数

以下の図は観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移である。

宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数.12.21

観光庁が発表した2021年11月の宿泊旅行統計によると、旅館、ホテル等の宿泊数は前年同月比▲4.1%の3,562万人泊。外国人は▲1.1%の30万人泊となった。


以下の図は2021年1月から10月までの都道府県別外国人延べ宿泊数のランキングである。

都道府県別外国人延べ宿泊数のランキング.12.21

グラフの集計を2021年10月まで集計。トップは東京都、千葉県、大阪府。以下神奈川県、沖縄県、福岡県が続く。下位は高知県、奈良県、佐賀県。


■インバウンド復活の予想

インバウンド復活を考えるにあたって、前提条件が大きく変化したので、考え方を変える必要がある。なので、前回のレポートから考え方などを大きく変更する。


インバウンド回復を予想するにあって、以下のポイント順に精査していく必要がある。

・水際対策

・留学生、就労者の入国再開

・観光白書に記載のインバウンドの段階的復活に向けた小規模分散型パッケージツアーの試行的実施の動向

・FIT観光客の入国再開(インバウンドの復活へのスタート)


まず、水際対策。残念ながら日本の水際対策はG7の中でもっとも厳しく(外国人新規入国者の一律入国停止)、また世論の9割近くが評価支持している事が、インバウンド復活の大きなボトルネックとなる。

日本の水際対策はかなり細かいが、強制力がない。まず、外務省が公開している「水際強化措置に係る指定国・地域一覧」を見て頂きたい。

水際対策12.21

出所:外務省


検疫所の宿泊施設(主にAPAホテル)で待機(隔離)する日数が指定国・地域によって違う。しかも、入国者の自己申告制な上、虚偽の内容を書いても法的罰則などがない。そして、宿泊施設で待機後、PCR検査で陰性なら自宅等への待機へ移る。この自宅待機期間中にも強制力がなく、最低限の買い物等を認めているので、実質外出は可能な上、自宅に人を招き入れる事ができる。なので、その濃厚接触者がサッカーなどを観戦(オミクロン株、都内で初確認 陽性の知人男性がサッカー天皇杯を観戦)したりしてしまうのである。


現在、1日の入国者数を3,500人と上限を設けているが、12月の帰省シーズンで隔離宿泊施設が足りなくなり、地方への宿泊施設に移動させられるケースもあった。要するにキャパシティーオーバーなのである。この方法には限界があり、これは今後緩和されていくと考えられるが、新たな変異株が発見されれば、同じ事を繰り返す可能性がある。


次に、留学生、就労者の入国再開の見通しが立たないのである。もう1年以上日本への入国を待ち続けている留学生もおり、日本政府の対応によって、宙ぶらりんの状況が続いている。これは明らかな人権侵害問題なのだが、日本政府はだんまり決め込んでいる。留学生が入国できないことに関しては、NHK(【詳しく】入国停止で留学生「日本で学びたい でも限界かも」)や朝日新聞(外国人学生 遠のく山口留学 オミクロン株で入国停止)が取り上げているものの、日本人特有の見て見ぬふり(「可哀そうだね」、「仕方いなね」としか思っていない)が表立ってしまった事例だと筆者は考える。年始早々に水際対策の方針が決まると考えられるが、この留学生の入国の有無については大きな注目点である。


そして、令和3年観光白書に記載されている、「インバウンドの段階的復活に向けた小規模分散型パッケージツアーの試行的実施」についてだ。11月の岸田総理の会見で「年内に団体観光の行動管理の実効性を行う」と述べたように、日本政府は小規模分散型パッケージツアーからインバウンドを受け入れられると考えられる。つまり、バブル方式だ。これはベトナムやタイが実施している地域を限定した団体旅行と同じようになると考えられるが、日本は東京オリンピック時に選手団をバブル方式で行動管理をしながら、車やタクシー等で通訳案内士付きの観光案内をした経験もあるので、似たようなやり方が採用されるのではないかと筆者は考える。


最後に、上記に述べたようなことがすべてクリアすれば、やっとFIT(個人旅行者)が自由に日本に来れるようになる。これがいつのか?と考えたときに、筆者はインバウンドの復活は、2022年中は厳しいのではないかと考える。残念ながら、日本の世論、ゼロコロナ思考(中国と同じ)、外国人への差別や偏見(こちらの記事を参照:Xenophobia Spills Into Japan’s Covid-Era Debate on Immigration)がインバウンド復活を大きく妨げている。

「2022年はインバウンドを忘れる事から始めよ」、だ。


筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事



会社紹介

Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。

また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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