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インバウンドが復活しない4つの理由|2022年3月月次インバウンドレポート

最新インバウンド情報

■3月の出来事要約

2022年3月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、3月1日より水際対策が緩和され、観光を目的とした入国以外の新規外国人入国が可能となった。また、入国者数上限も徐々に緩和をしていく方針で、4月1日には1万人まで上限が引き上げられる。


■3月主なインバウンド関連ニュース


・日本政府観光局が発表した2022年2月の訪日外国人客数は2月単月で16,700人となった。前年同月比は+127.1%と大幅増となった。


・日本への入国・帰国は指定国・地域滞在歴の有無と有効なワクチン接種証明書の有無(2回接種済み、またはブースター接種済み)によって場合分けされる。例えば、指定国・地域滞在歴なしでブースター接種済みの証明を提示し、入国時検査で陰性であれば、自主隔離は不要となる。詳細はこちら


・JTB総研が「データで見る訪日インバウンド市場トレンドマーケット・リカバリー・ウォッチ特別号」を無料公開。詳細はこちら


・経団連が新型コロナウイルス感染症対策に関する提言を発表。その中で「ビジネス・教育研究・観光といった入国目的を問わず、自由に国際的な往来が可能となるよう、取り組むべきである。」と提言。詳細はこちら


・シンガポールは4月1日より旅行者に対する入国時の制限措置を全ての国・地域に対して解除をする。詳細はこちら


・日本百貨店協会が発表した2022年2月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比▲3.6%の41.7億円だった。


・観光庁が発表した2022年2月の宿泊旅行統計によると、2022年2月の外国人延べ宿泊者数は23万人泊、2019年同月比▲97.5%、前年同月比+10.9%であった。


■訪日外国人客数

以下のグラフは2017年-2022年までの訪日外国人客数である。

2017年-2022年までの訪日外国人客数

日本政府観光局が発表した2022年2月の訪日外国人客数は2月単月で16,700人となった。前年同月比は+127.1%と大幅増となった。


国別で見ていくと、アジアではベトナムから2,600人、続く中国2,400人が上位。次にインド1,700人、フィリピン1,300人と全体を牽引。

欧米豪からは、先月から大幅に減少し、英国100人、フランス100人、ドイツ80人。米国からは600人だった。



■免税店総売上高の推移

百貨店協会が発表している免税店総売上高は以下の図の通り。

免税店総売上高

日本百貨店協会が発表した2022年2月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比▲3.6%の41.7億円だった。

売上上位商品群は化粧品、ハイエンドブランド、食料品の順番。

免税手続きカウンターの来店国別順位は中国本土、台湾、韓国、タイ、マレーシア、香港の順番。香港来店順位が下降気味であり、おそらく香港でのコロナ蔓延が影響しているのと考える。


以下は購買客数と購買単価の図である。

2月の購買客数は約0.6万人。購買単価は66.1万円となった。購買客数は減少したものの、購買単価は大幅に増加。


■外国人延べ宿泊者数

以下の図は観光庁が発表している宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移である。

宿泊旅行統計調査の外国人延べ宿泊数の月次推移

観光庁が発表した2022年2月の宿泊旅行統計によると、2022年2月の外国人延べ宿泊者数は23万人泊、2019年同月比▲97.5%、前年同月比+10.9%であった。


以下の図は2022年の都道府県別外国人延べ宿泊数のランキングである。

2022年1月までの集計。トップは東京都、千葉県、大阪府。以下沖縄県、神奈川県、愛知県、福岡県が続く。下位は高知県、鳥取県、徳島県。


■インバウンド復活の予想

先月から引き続き、筆者はインバウンド復活に関しては悲観的だ。観光目的の入国緩和は早くても参議院選挙後になると考えている。理由としては以下の通りだ。


一、岸田政権の支持率維持のため、参議院選挙前までの観光目的の入国緩和に消極的

一、観光庁がインバンド復活のロードマップを示せてない(GoToトラベルの再開も示せてない)

一、日本政府と観光庁は未だに管理型ツアーを真剣に考えている

一、コロナを5分類に引き下げる見通しがない


一、岸田政権の支持率維持のため、参議院選挙前までの観光目的の入国緩和に消極的

現時点での内閣支持率は高く、そのような状況下で外国人の観光目的の入国を緩和してしまったら、「GoToトラベルの再開さえ見込めないのに、外国からの観光を認めることは何事か!」と言う意見が続出することで内閣の支持率が低下することが予想される。岸田政権はそのリスクを取る必要がないと考えるのが普通だろう。また、観光以外の入国を認めたことで、日本の鎖国に対する批判が鎮火した。言い換えれば、日本の鎖国に対して批判する人がいなくなったのである。


一、観光庁がインバンド復活のロードマップを示せてない(GoToトラベルの再開も示せてない)

観光庁長官の記者会見要旨を見ても、観光受け入れに関してのロードマップなどが全く示されないでいる。以下、観光庁長官会見の中でのQ&Aの一部だ。


“(問)水際対策の緩和についてお伺いします。来月から段階的に緩和されるという方針が表明されましたけれど、今回観光目的というのは対象外となりました。これについての受け止めと、今後その観光目的の緩和に向けた時期というか、今後どういうふうに向かっていくべきかという所感があれば教えてください。”

“・観光目的の入国再開については、今回は対象になっておりませんけれども、総理が会見で述べられているとおり、国内外の感染状況とか、主要国の水際対策の状況、それから我が国の検疫体制の実施状況等を勘案しながら、今後水際対策の見直しの中で、政府全体で検討していくと、こういう整理がなされたと承知をしております。”

“・観光業界の皆様からは、国際観光再開についての期待が非常に大きいということで私どもも承知をしてございますけれども、観光庁としては、こうした声を水際省庁と言われるところに、しっかりとお伝えしながら相談をしていきたいというふうに思っております。”


筆者はお役所文化が強く残る企業に勤めていたことがあり、この“検討する”という言葉は、問題の先送りを意味していることは身に染みて理解をしている。つまり、“何も検討をしていない”と読み替えてもいいぐらいの文言なのである。


一、日本政府と観光庁は未だに管理型ツアーを真剣に考えている

日本政府と観光庁は管理型のツアーを真剣に考えている。その発端は令和3年版の観光白書本文(第 IV 部 令和3年度に講じようとする施策)の記載から始まっている。以下抜粋。


・日本政府観光局等を通じて我が国の安心・安全への取組に関する情報を発信するとともに、国内外の感染状況等を見極めながら、小規模分散型パッケージツアーを試行的に実施することで、訪日観光客と受入地域の双方にとって安心・安全な旅行環境の整備を目指す。“


次に、岸田総理の11月10日の記者会見で、観光目的の入国緩和については、


“「年内に団体観光の行動管理の実効性を行う。その実証の結果を踏まえたうえで、慎重に感染状況を見極めながら、緩和のタイミングを考えたい」”

と述べた。


この後、オミクロン株の出現でコロナに関わる対応が大きく変化し、管理型ツアーの案はなくなったかと思っていたら、観光庁長官の記者会見で、管理型ツアーを引き続き検討していることが確認された。


“(問)水際対策の件なのですけれども、政府全体で検討していくということなのですけれども、考えられるのは、去年中止したようなモニターツアーをやって、例えば感染が落ち着いた国同士の2国間の交流から始まって順次拡大していく。そのような考え方が考え得るのかという、あくまで可能性の話ですけれども、どういうような形で広がっていくイメージなのかというのが、もしお話できるのであれば伺いたいのですけどれも。”

(答)

・“現時点で、今、私どもが考えているのは、小規模な管理型ツアーからですね、これは旅行者と地域の皆さんの両方の安全・安心を確保しながら、インバウンド旅行、観光を再開していくというやり方をまず第一歩としてやりたいと思っています。”

“・小規模管理型ツアーがうまくいけばその後どうするのかっていうのは、まさにおっしゃられたように、その国によって水際を緩めて良い国と良くない国というのが出てくるかもしれませんので、その時々の情勢に応じて、適切な対応を考えていくということではないかというふうに思います。”

“・まずは、小規模管理型のモニターツアーから始めたいなというふうに思っておりますが、これも少し様子を見ながら相談をしていきたいというふうに思います。”


一、コロナを5分類に引き下げる見通しがない

コロナが第2分類に属している限り、コロナとの共生に舵を切る事が難しいのではないかと考える。しかし、コロナをインフルエンザと同等の第5類に引き下げることについての議論に対して、日本政府は慎重姿勢であり、難題を先延ばししているようにも思える。


以上4つの理由から、筆者はインバウンドの復活は早くても参議院選挙後にならなければ、岸田政権がリスクをとってまで観光目的の入国制限緩和をするとは思えないのである。また、コロナとの共生にも時間がかかり、日本人の国内旅行、GoToトラベルなどが再開されなければ、世論は外国人の観光目的の入国を許すとは到底思えないのである。



筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事

・まいまい京都・東京事務局

・会計事務所にて、資金調達・事業計画アドバイザー

・訪日ラボで「株式市場からインバウンド復活の動向を読み解く」を連載中


会社紹介

Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。

また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。



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