5月第1週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し
今週のインバウンド及び国内旅行関連銘柄の情報
インバウンド銘柄の主な材料は:
・Jフロントリテイリングは大丸松坂屋の既存店売上を発表。4月は前年比24%増となった。ラグジュアリーブランドや宝飾品が好調だったことに加え、前年の感染症影響の反動により売上は増加した。店舗別では、直営13店舗中11店舗が前年実績を上回った。免税売上高は対前年比155%増(客数同86%増、客単価同37%増)となった。
・寿スピリッツは22年3月期業績予想の上方修正を発表。売上は312億円(前予想比+14億円)、営業利益は14億円(同+12億円)に修正した。年末商戦など季節イベントでの販促強化が奏功し、収益を押し上げた。
・力の源ホールディングスは4月の既存店売上を発表。国内店舗は前年比104%、海外店舗は同124%となった。国内店舗では前年は時短営業を強いられたが、今期は通常営業を再開した。海外店舗では全店営業をする地域が増えている。
・JALは22年3月期末決算を発表。売上収益は前期比42%増の6,827億円、純損益は▲1,490億円(前期は▲2,511億円)。貨物郵便が前期比70%増と収益を押し上げたものの、国際線の低迷や燃料費の高騰が響き、2期連続の赤字となった。22年度の通期業績見通しは、純利益450億円の黒字転換を見込む。国内旅客数が通年で19年度の90%、国際線が45%までの回復を前提としている。
・また、JALは25年度までの中期経営計画を発表。22年度中の復配と、25年度までにEBITで1,850億円以上を目指す。マイルなど非航空事業を全体の35%、LCCを10%まで高め、収益基盤の多角化を図る。
5月1週目の株式相場のまとめ
日本がゴールデンウイークの中、アメリカではFOMCと雇用統計という重大なイベントあった。FOMC後の記者会見でパウエル議長が75bpsの利上げは積極的に検討していない、という発言から、株高、円高に振れたものの、翌日のダウ平均株価は1300ドル超下落するなどの乱高下となった。
主要指数(週)
TOPIX(先週差)
始値1899.92 高値1919.61 安値1887.27終値1915.91 (+16.29)
日経平均株価指数(先週差)
始値26,581.1 高値27,072.59 安値26543.29 終値27,003.56 (+155.66)
NT倍率14.13
インバウンド・旅行関連銘柄の株価週間パフォーマンス
モニタリングをしている、インバウンド旅行関連銘柄の週間パフォーマンス。水際対策のさらなる緩和で、インバウンド復活期待から期待先行買いが入った。トップは韓国系インバウンドのハナツアー、中国爆買い系のラオックス、空港ビル運営をしている日本空港ビルディングが上昇率トップとなった。
5月2週目の材料
9日
10日
11日
景気先行指数(日)
消費者物価指数(米)
12日
国際収支(日)
新規失業保険申請件数(米)
13日
株式相場の見通し
今週から日本企業の決算発表の終盤戦。そのよう中、米国金利が上昇しつづけ、原油などの商品価格も高止まりをしている。また、米国の消費者物価指数の発表もあり、市場予想は前年比8.1%となっている。その結果次第では、米国金利上昇と今後のFOMCの利上げとテーパリング観測で株価は下値圧力がかかると考える。緩和縮小と利上げは高バリュエーション株にはマイナスに働く。
岸田総理がロンドンのシティで日本への投資を呼び掛けたものの、効果は限定的であると考える。日本へ投資する魅力は不動産と農地、水源しかない。外国人投資家が投資したいと思う魅力的な成長力がある日本株は少ない。
旅行関連銘柄は大型連休以降の水際対策の緩和報道で株価は大きく動くと考える。ただし、しっかりと財務と事業の中身を見る必要がある事は忘れてはならない。
筆者紹介
・立命館大学卒
・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社
・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当
・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)
・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事
・まいまい京都・東京事務局
・会計事務所にて、資金調達・事業計画アドバイザー
・訪日ラボで「株式市場からインバウンド復活の動向を読み解く」を連載中
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