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インバウンド業者が行く、いばらの道|2022年9月インバウンドレポート



■9月の出来事要約

2022年9月の訪日観光(インバウンド)のトピックとしては、水際対策が緩和され、9月7日から入国者上限を1日2万人から5万人へ引き上げ。出国前検査がワクチン3回接種で陰性証明書の提出が免除となった。

また、岸田総理大臣が入国者上限数の撤廃と個人旅行解禁を表明。10月11日から水際対策が大きく緩和されることとなった。残る水際対策はコロナワクチン3回未接種者に課する出国前72時間前陰性証明書のみとなった。


■9月主なインバウンド関連データ

日本政府観光局が発表した2022年8月の訪日外国人客数は8月単月で169,800人となった。前年同月比は+555%、同年前月比+17.5%となった。

以下のグラフは2017年からの訪日観光客数のグラフである。

以下の図はLocalizedターゲット国別訪日客数。


日本百貨店協会が発表した2022年8月免税店売上高・来店動向速報によると、免税店売上高は前年同月比+175.4%の92億円だった。先月から減少したものの、悪い数値ではなかった。

観光庁が発表した2022年8月の宿泊旅行統計によると、2022年8月の外国人延べ宿泊者数は77万人泊、2019年同月比▲91.9%、前年同月比+25.2%であった。水際対策の緩和から3か月連続で増加。



以下は9月単月のインバウンド・旅行関連銘柄のパフォーマンス。

トップのパフォーマンスはインバウンド向けコト消費を提供している和心。+68%と大相場となった。続く、一風堂を運営する力の源。既存店月次の改善が好感され株価は堅調に推移した。ワーストは美顔器などを製造するヤーマン。こちらは円安でのコスト増で、減益決算が嫌気され、TOPIXを下回るパフォーマンスとなった。

マーケットは水際対策緩和などの報道で、連日インバウンド銘柄で賑わい、モニタリングしている銘柄のほぼすべてがTOPIXを大幅に上回るパフォーマンスとなった。


■インバウンド業者はやっとスタートラインに立てる

コロナ鎖国から丸30カ月。やっと疫病と水際対策の人災の悪夢が明ける。長かった、とても長かった。この間、日本は世界(欧米)から大きく差を開けられてしまい、欧米からの大きなペントアップディマンド(リベンジ消費)を逃してしまった。そして、インバウンドに携わる人材はほぼいなくなり、とんでもない人材不足と円安による原材料高に苦しめられる日々が始まろうとしている。


10月以降、ゼロだったインバウンド客が急に日本に押し寄せるので、0→30%ぐらいまで一気に需要が戻る。その中で人材の確保が急務になるが、そもそも飲食と観光業は慢性的な人手不足(特に地方)の中、人材争奪(多言語が出来る人材など)合戦が起こる。そのため、時給単価が上がり、コスト増につながる。そして、それを補うための値上げや売上拡大の施作を打つものの、大半の事業者は意外と売上が伸びない事象を体験するだろう。これはアメリカですでに起こっていることであり、日本はリオープンが1年遅れているから、今後何が日本で起きるのか容易に想定できる。


また、金融市場を見れば、今後リセッション(景気後退)が起こる事が想定される。その確度も高い。米国は二桁に迫るインフレ率に対抗するため、政策金利を急ピッチで上げている。そのため、米国債券のイールドカーブを見れば、2年債金利が10年債金利を上回る逆イールドが起きている。この逆イールドが起きると、景気後退が来るのは歴史を見ればわかる。

興味がある方は、三井須住友DSアセットマネジメントが出しているこちらのレポート、「米国における逆イールドと景気循環と株価の関係」を参照。


つまり、来年は景気が悪くなる可能性が相当高く、景気が悪くなれば人間は、観光・レジャー、外食から支出を減らす。加えて、日本に生活しているとわからないかもしれないが、日本以外の国はインフレ率がとても高い中、賃金上昇がそれに付いていってない状況になっている。つまり、日本に住んでいる以上に生活が苦しく、海外旅行に行くような気分にはなかなかなれない。円安だから日本に旅行に来るとかそんな安易なレベルの話でない。

インバウンド業者はやっとスタートラインに立てたものの、茨の道が待っている。



筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事

・まいまい京都・東京事務局

・インバウンドアナリストとして、世界各国のメディアに出演


会社紹介

Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。




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