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インバウンド街歩きツアーと日本文化体験の事業構想

  • 執筆者の写真: 宮本 大
    宮本 大
  • 5 時間前
  • 読了時間: 5分

Localized代表・宮本大が考える、ガイド育成、地域貢献、ワンダーワンダー(WANDER x WONDER)


浅草の街歩きツアーに参加した旅行者とガイド

僕は金融機関に12年くらいいました。旅行業界には、ど素人で飛び込んだ人間です。


旅行業のことはまったく分からない。ネットワークもない、知識もない。そんなところからスタートしました。


きっかけは、海外留学中の旅行です。それまでは日本語の情報を見ながらバックパッカーをしていたのですが、留学中は「日本語を全部忘れよう」と決め、英語のガイドブックやサイトを使って旅をしていました。そこで、チップをベースにしたフリーツアーに出会いました。


ガイドは参加者から直接チップを受け取り、運営側はガイドにお客さんを紹介する。そのビジネスモデルに衝撃を受けました。当時、僕が調べた範囲では、ボランティア団体はあっても、この仕組みを事業として運営する例はほとんど見当たりませんでした。そこで、帰国してすぐ、会社員を続けながら東京で始めました。その後、会社を辞めて事業に軸足を移しました。それが今のツアー事業の始まりです。


いい体験を提供できないものはやらない


要するに、お金になるとかじゃなくて、やっぱり一番大切なのはお客さんの体験だと思っています。いい体験を提供できないものはやらない。これが僕の主義です。基本的には、やりたいことをベースでやっていく。お客さんが求めているものを提供する。それに付加価値をつける。


茶道や書道の体験も、日本文化に触れてもらうきっかけです。体験した人が国に帰って、「習字をやりたいな」「茶道を本格的にやってみたいな」と思ってくれたら、日本のファンが増えていく。それが僕の役割だと思っています。


よく「高付加価値」と言われますが、高付加価値とは何なのか。料金面のことなのか、サービス面のことなのか。うちの体験は、正直、料金は安いです。高額なツアーを狙うのではなく、僕はマスで勝負していく。バジェットトラベラーにも、日本のことをしっかり学べる体験を届けたい。それが国への貢献だと思っています。


ガイドさんが資産


この事業では、ガイドさんが資産です。


マニュアルも、スクリプトも、台本もあります。質問に答えられているか、安全に配慮できているかといったことは確認し、レビューも数字で分析しています。僕は金融機関にいて、ずっと数字の世界にいたので、そこは数字で説明するようにしています。


ただ、ガイドさんは人それぞれです。人格も違うし、喋り方も違うし、伝え方も違う。そこまで標準化することはできません。


だから、守るべきところはそろえながら、それぞれの人の良さは残したい。いいガイドさんに育てるための研修を続け、ガイドさんにも仕事をつくっていく。ガイドさんは短いツアーの中で、お客さんからエネルギーをもらって、それを打ち返していく。2時間なら2時間、演じ切る。そこが、うちの短時間ツアーの強みだと思っています。


僕にできる地域貢献


「地域貢献」という言葉は、みんな軽々しく使います。僕自身もよく使う言葉ですが、地域が抱える課題をどう解決するのかを考えないといけません。


僕は、観光は生産性に課題があると感じています。観光庁も、観光産業の生産性・収益性・賃金水準の低さと人手不足を課題として挙げています伝統産業にも、人手不足や担い手不足があります。その背景にはいくつもの要因がありますが、仕事として飯を食っていきにくいことも大きいと思っています。


そこで、観光のお金を地域に循環させる一つの答えが、ガイドさんだと思っています。


その地域に住んでいるガイドさんに、仕事の機会、オポチュニティをつくる。生活につながる報酬を得てもらい、地元で使ってもらう。観光で得たお金が、地域の中で回る形をつくる。それが、今の僕にできる地域貢献です。


ワンダーワンダー(WANDER x WONDER)と「ウイスキー山崎事件」


一方、日本人向けには、「ワンダーワンダー(WANDER x WONDER)」という街歩きブランドを立ち上げています。ここでは、これからインバウンドではないところの旅行を育てていきたい。現在は専門家と歩くマニアックな街歩きを行い、これから浅草で、若い人に向けた書道や茶道もやりたいと思っています。


書道や茶道を「教室で習う」となると、初めての人にはどうしてもハードルが高く見える。だから、とにかく敷居をめちゃめちゃ下げて、本当に簡単でカジュアルなものにしたい。


僕の中で、「日本文化の再発見」を象徴するのが「ウイスキー山崎事件」です。


僕の感覚では、山崎をはじめとする日本のウイスキーが海外で高く評価され、パーンと注目されたことで、日本でも改めてその価値に気づく人が増えたように見えました。抹茶にも、同じようなところがあると思っています。


だからこそ、まず日本人に日本の文化をきちんと伝えていかないと、この国の将来はないと思っています。


日本文化を伝えることを、うちが独占しようとも思っていません。みんながみんなやって、それで日本文化がつながっていく。文化の形は変わると思う。そうやって入口をつくらないと、みんなそのうち筆も持たなくなる時代ですから。


旅する基本は変わらない


僕はずっと、「人が旅する基本は変わらない」と言っています。


旅程を立て、移動して、泊まる場所を見つける。昔と比べて移動は速くなり、情報も速く届くようになり、通訳がいらない場面も増えました。そこは技術の進歩です。


でも、旅を構成する基本的な体験は変わりません。移動する、泊まる、食べる、見る、体験する。どんなにテクノロジーが発展しても、ここは変わらないと思っています。


だからこそ、僕はその変わらない体験の部分で、日本文化に触れるきっかけを増やし、日本のファンを増やしたい。ガイドさんに仕事をつくり、その地域に還元される形にしたい。それが今、僕にできることだと思っています。

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