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Aug 9, 20204 min

TOPIXの予想PER23倍!?8月第1週のインバウンド銘柄及び国内旅行関連の株価の動き

8月第1週のインバウンド銘柄及び国内旅行関連の株価の動き

2020年8月9日

執筆:インバウンドアナリスト

宮本 大

主要指数(週)

TOPIX(先週差)

始値1510.23 高値1559.44 安値1508.13 終値1546.74(+50.68)

予想PER23.63 予想PRB1.13 予想EPS65.45(-4.4)

※モーニングスターより

日経平均株価指数(週)

始値21,947.58 高値22,603.82 安値22,329.94 終値22,329.94(+619.94)

NT倍率14.43

8月1週目の株のまとめ

先週から引き続き日本企業及び米国企業の四半期決算発表が続いた。個別銘柄は四半期業績の内容で株価の優劣があったものの、日経平均株価は先週の大幅下落からの反発に加え、米国アップルの企業決算が好感された事や、米国の追加経済政策成立期待、ISM非製造業景況指数などが改善したことを受けたアメリカ株の上昇を受け、先週より+619円高く週末の取引を終えた。

8月2週目の株の材料

10日

山の日(日)

11日

国際収支(日)

12日

消費者物価指数(米)

13日

新規失業保険申請件数(米)

14日

小売売上高(米)

 8月2週目の日本株式市場の主な材料としては①米国の追加財政出動の動向、②日本企業決算、③米中対立関係の動向、④国内のコロナ感染者数が主な材料となろう。日本株は四半期決算が大方出そろい、決算内容が良い銘柄は買われ、悪い内容の銘柄は売られる流れが続くと想定。日本市場は月曜日祝日に加え夏休みシーズンもあり、商いは少なく推移するだろうが、米国の追加財政出動の動向や米中対立の動向、日本以外でもコロナ感染者数が再び増加していることなどから、株価が大きく動く可能性も想定されよう。

インバウンド及び国内旅行関連銘柄の動き

 以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。

 引き続き全銘柄の対TOPIXを下回る状況が続く。大方決算発表が終わり、資生堂が赤字に転落し株価が大きく下がった。また、今まで売られ続けてきたJALや寿スピリッツは決算発表後の材料出尽くしから、買い戻される展開となった。マツモトキヨシは11日に決算発表を控えている。一旦売られ過ぎた銘柄の買い戻しの流れは続くと予想するが、JALなどはお盆シーズンの予約率や減便の報道もあるように、インバウンド銘柄は7-9月も厳しい環境が続く事が想定されるので引き続き注意が必要。

以下の図は国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価動向である。

国内旅行関連銘柄の決算発表は大方一巡し、今まで大きく売り込まれたJRや旅行代理店株が買い戻される一週間であった。星野リゾートは8月の週末の予約が好調ということもあり、株価は他の銘柄より大きく崩れてないものの、厳しい経営環境が続く中での減配リスクの可能性もあるので、注意が必要と考える。国内旅行関連銘柄は一旦売られ過ぎの買い戻しの動きは続くと考えるが、年後半の環境の改善が見込めない場合は一段の下げのリスクを注意しなければならない。

筆者の個人的見解

 筆者個人の株式相場の動向の考えとしては、バリュー株や売られ過ぎた株のアウトパフォームは続くと考えられる。ただ懸念事項としては、TOPIXのPERの水準年後半の景気の動向だ。TOPIXのPERは現在23倍。過去の水準ではTOPIXは13-15倍での推移が居心地が良いのでは。業績見通しを見送りしている企業が多いく予想PERの数値の算出には不十分だが、ぱっと見のPER23倍は高すぎる感がある。

 景気面ではやはり人の動きが鈍く、旅行、レジャー、外食のモメンタムは悪く、今後も悪い流れが続くのではないかと考える。特にJALやJR東海の予約率などの報道を見る限り、人の動きは回復していないと考えざるおえない。Go Toトラベルの進捗状況の報道やGo Toイートも延期など業界は厳しい経営環境が続いていると思われる。

 また秋口以降のコロナ第3波に備えた政治の動きも気になるところ。政策では、おそらく消費税の減税が本丸ではないかと考える。プラス材料としては、中国は景気回復が早いぐらいだろうか。8月は夏枯れ相場というが、このパンデミック下ではアノマリーの過信は禁物。商いが薄いってことは株価の動きは狭いレンジになるが、何か材料が出たら大きく動くこともあるので、注意が必要と考える。

■筆者紹介

・立命館大学卒

・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社

・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当

・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)

・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事

■会社紹介

Japan Localizedは現在、東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。

 また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティングなど、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。

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