インバウンド・国内旅行関連銘柄の投資情報
今週のインバウンド及び国内旅行関連銘柄の情報
インバウンド銘柄の主な材料は:
・Jフロントリテイリングは大丸松坂屋百貨店の1月の既存店売上についてコメントした。16日までの累計で対前年比26%増(対前々年▲21%減)で推移。入店客数の増加や前年のコロナ感染拡大の反動が、前年比増加の要因となっている。また、同社は3Q決算発表のQAを公表。公表資料によれば、直近のクリスマスの商況も入店・売上とも大きく伸びているとのことである。
・マツキヨココカラカンパニーは、12月の月次売上を発表。統合後の既存店売上は前年同月比4.9%減となった。統合前の会社別でみると、マツモトキヨシグループの既存店売上は前年同月比5.7%減、ココカラファインの既存店売上は同3.5%減となった。
・ANAとJALは22年度運航計画を発表。ANAは国内線でコロナ前と同水準となる20年度期初計画並みの運航を計画。ビジネス需要を見込める中部空港発着路線などを増便する。JALは沖縄路線を中心に増やし、レジャー需要獲得を目指す。
・JALはヤマトホールディングスが24年4月から計画する貨物専用航空機の運航を受託する。同社はコロナ禍を背景とした旅客機床下貨物スペースの減少などの経営課題を抱えており、保有機体の有効活用や新たな供給創出を模索していた。運航受託という形を取ることでリスクを抑えつつ、貨物需要を取り込む考えである。
・オリエンタルランドは、東京ディズニーランド・シーで1日の入場者数を最大2万人に制限すると報道。千葉県にまん延防止等重点措置が適用される期間(2月13日まで)が対象である。一方、営業時間については午前9時から午後9時までとして変更しない。
国内旅行関連銘柄の主な材料は:
・JR東海は東海道新幹線の1月の利用状況を発表。18日までの利用状況は前年比134%増となった。コロナ禍前の前々年比では36%減で、前月の32%減からやや減少幅が拡がった。
・また、同社は在来線の車両に次世代バイオディーゼル燃料を使う実証試験を1月下旬から始めると発表。バイオ燃料は、藻類の一種ミドリムシを使った製品を手がけるユーグレナが供給する。従来よりも燃費性能を35%向上させ、通常の軽油を使用したとしてもCO2排出量も3割削減できるとのことである。
1月3週目の株式相場のまとめ
今週も引き続き米国のインフレに伴うFRBの利上げと早期テーパリングが懸念されたことや、NY連銀製造業景気指数などの経済指標の数値が弱かった事より米国の景気後退懸念も加わり、ハイテクグロース株が大きく売られる展開となった。また、NETFLIXの決算を嫌気した売りもあり、連想で高バリュエーション株が軒並み売られる展開となった。
そのような中世界の景気敏感株指標である日本株も大きく下落した。特にマザーズの下落が目立った。マージンデットが膨れ上がっている中、追証回避の売りが売りを呼ぶ展開となった。
モニタリングをしているインバウンド・旅行関連銘柄はまん延防止等重点措置が東京都などの発令される報道をきっかけに、それまで売り続けられた銘柄中心にショートポジションのアンワインドもあり、先週の下落から反発した銘柄が多かった。
主要指数(週)
TOPIX(先週差)
始値1987.32 高値2003.69 安値1899.88 終値1927.18 (▲50.48)
予想PER13.64 予想PRB1.07 予想EPS 141.28
※モーニングスターより
日経平均株価指数(先週差)
始値28,332.72 高値28,690.34 安値27,129.61 終値27,522.26 (▲602.02)
NT倍率14.28
インバウンド・旅行関連銘柄の株価週間パフォーマンス
以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価推移である
まん延防止等重点措置発令に伴い、一風堂などを運営する力の源ホールディングスや資生堂などの化粧品メーカーが軟調だった一方、JALやANA、富士急行(陸運)が大きく反発した。
モニタリングをしている国内旅行関連株は先週から大きく売られ続けていたエアトリやオープンドアなどが大幅反発。また、JR東海も堅調だった。一方、これまで好調だった星野リゾートREITがさえない動きとなった。
1月3週目の材料
24日
ユーロ圏製造業PMI(欧)
ユーロ圏非製造業PMI(欧)
25日
26日
景気先行指数(日)
27日
FOMC(米)
GDP速報値(米)
耐久財受注(米)
新規失業保険申請件数(米)
28日
株式相場の見通し
今週はFOMCが大きな注目イベントになろう。その内容によって、3月までの相場の流れが決まると考えてもいい。インフレによるFRBの利上げペース加速懸念により、ハイテクグロース株がさらに売り込まれるか、ここで一旦反発するのかに注目したい。それが終われば、決算発表が本格化してくる。個人的には高バリュエーション銘柄への投資は避けておきたい。また、インフレヘッジのための銘柄にも資金を置いておく事も考えていく必要がある。日本はじわじわとスタグフレーションが進行すると筆者は予想する。日本はコロナによる人流抑制のため経済活動が止まり、原材料高、グローバルサプライチェーンの停滞、円安の外部要因などから生活必需品の値上がりにより、消費マインドの悪化が避けられないだろう。
インバウンド・旅行関連株は株価の反転上昇の兆しがあるものの、次の決算内容に注意をしなければならない。10-12月の業績がどれだけ回復しているかに加えて、 足下のコロナの影響や財務内容を精査しなければいけない銘柄が複数ある。アフターコロナ銘柄だからと言って、安易に買うべきではない。
筆者紹介
・立命館大学卒
・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社
・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当
・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)
・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事
会社紹介
Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。
また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。
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