12月第5週のインバウンド株及び国内旅行株の動きと見通し
今週のインバウンド及び国内旅行関連銘柄の情報
インバウンド銘柄の主な材料は:
・JALは1月の「地域プロモーション活動」で「石川県」を特集。機内誌「SKYWARD」1月号で石川県白山からの恵みと周辺の代表的スポットを紹介予定。
・Jフロントリテイリングは2022年2月期第3四半期決算を発表。コスト抑制により、3Q累計で営業黒字に転換。通期予想を据え置いた。売上収益は2,374億円、前年比+2.9%、事業利益は69億円、前年比+369.9%となった。緊急事態宣言解除以降、人流回復等による売上が改善したことが要因。
国内旅行関連銘柄の主な材料は:
・HISは、子会社によるGoToトラベル給付金の不正受給によって延期をしていた2021年10月期決算を発表。売上高は1,185億円、前年比▲72.4%、営業利益は▲640億円と大幅な赤字決算となった。全セグメントも赤字で、厳しい決算内容だった。また、子会社の不正受給による決算への影響は、売上高▲20億円、営業利益▲5.8億円、親会社株主に帰属する当期純利益▲3.9億円となった。
12月5週目の株式相場のまとめ
年内取引最終週、掉尾の一振が期待されつつも、日本株は市場参加者が少ない中で薄商いの冴えない動きとなった。日経平均株価の大きなウエイトを占めるファストリテイリングは7日連続続落し、日経平均株価の押し下げ役となった。また、個人投資家が多いマザーズも下落も目立った。一方、米国株は連日最高値を更新。ドル円は115円台と円安が進行。
モニタリングをしているインバウンド・国内旅行銘柄はオミクロン変異株が世界的に蔓延していることや、国内でもオミクロン変異株が市中感染しはじめたことが嫌気され、またそれによってGoToトラベルの開始時期が延びるのでないという懸念から、全体的にさえない動きとなった。
主要指数(週)
TOPIX(先週差)
始値1986.64 高値2008.24 安値1976.38 終値1992.33 (+5.55)
予想PER14.11 予想PRB1.11 予想EPS 141.19
※モーニングスターより
日経平均株価指数(先週差)
始値28,786.33 高値29,121.01 安値28,579.49 終値28,791.71 (+9.12)
NT倍率14.45
インバウンド・旅行関連銘柄の株価週間パフォーマンス
以下の図はインバウンド及び国内旅行関連銘柄の昨年末からの対TOPIXでの株価推移である。
モニタリングをしているインバウンド関連銘柄は好決算を発表したJフロントリテイリングが大きく上昇した。
国内旅行関連株はオミクロン変異株が市中感染しはじめた事が嫌気され、エアトリやオープンドアが大きく売られる展開となった。
1月1週目の材料
3日
日本休場
4日
大発会(日)
ISM製造業景気指数(米)
5日
ADP雇用統計(米)
6日
貿易収支(米)
新規失業保険申請件数(米)
耐久財受注(米)
ISM非製造業景況(米)
7日
雇用統計(米)
株式相場の見通し
2021年はコロナとの戦いの中、環境に変化に対応した企業の株価が評価された。今年のTOPIXのリターンは+10.4%となり、アメリカ市場に比べると大きくはないが、全体的に悪くない相場と言えるだろう。その中でモニタリングをしている旅行・インバウンド関連銘柄のリターン(以下の図を参照)は総じて悪くはない。半分以上の銘柄がTOPIXをアウトパフォームした。トップはエアトリの+145.99%。続く藤田観光+73.4%。これは昨年末の株価の発射台が低かった事もあり、ファンダメンタルズが改善したとは評価はできないが、パフォーマンスだけを見れば、素晴らしいリターンをたたき出している。ワーストはユーラシア旅行社、▲40.9%。これはアウトバウンド専門旅行代理店で、厳しい水際対策が続いている事が株価に反映した。
来年も環境の変化に対応した企業の株価は評価されよう。インバウンドやGoToトラベルなどに頼らず、収益を上げられる企業に注目したい。特にエアトリ、星野リゾート、オリエンタルランド、Jフロントリテイリング、力の源が本命。続く、JR東海、JALとANAにも注目したい。
2022年前半の相場全体としての注目点はインフレとFEDの利上げだろう。加えて、オミクロン変異株の動向や来年にはコロナが終息するのではないか?という見通しもあるので、それも加えておきたい。
また、日本株は先週のレポートでも述べたように、原材料高、円安による日本国内のインフレに注意をしなければならない。インフレとオミクロンで消費マインドがさらに冷え込む可能性がある。
日本株は昭和時代の工場勤務体系マインド脱却からの賃金上昇とデフレマインドを克服出来れば、上昇するだろう。値上げ、賃上げ、消費マインド改善の3点が来年の相場を決定づける。
2021年、大変お世話になりました。2022年もよろしくお願い致します。
筆者紹介
・立命館大学卒
・SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)を経てかんぽ生命保険入社
・外国債券・為替ポートフォリオマネイジメント、日本株アナリスト兼株式ポートフォリオマネイジメントを担当
・米国College of William & Mary School of Business 卒(MBA)
・Japan Localized設立後、訪日観光客向けへ体験ツアーの企画運営、インバウンド市場のリサーチ業務に従事
会社紹介
Japan Localizedは東京、京都、大阪で訪日観光客向けのガイドツアーの運営を行っています。これまで、+50,000人以上訪日観光客へツアーを遂行しました。トリップアドバイザー社の”旅好きが選ぶ!外国人に人気の日本の体験・ツアー2020”で日本全国第3位に選出されています。現在はライブストリームで日本各地からオンラインツアーを行っております。
また、北米、欧州、豪州、南米からのインバウンドに特化したツアーの企画、リサーチ、マーケティング、英語及びスペイン語のツアーガイドの養成・研修、欧米豪南米インバウンド向けビジネスコンサルティング、メルマガ発行など幅広くインバウンドビジネスサービスを提供しております。詳しい情報やお問い合わせは弊社のホームページのお問い合わせフォームからお願い致します。
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